地方の人口減、論戦過熱 振興策や賃上げ、訴え響く 広島6区・島根2区【2024年衆院選】
衆院選は、27日の投開票まで20日で1週間となった。少子化や若者の流出による人口減少、物価高、賃金格差…。暮らしを巡る課題は山積し、中国地方各地で論戦が過熱する。ものづくりのまちで、過疎に直面する山間部で、候補の訴えが連日響く。 衆院選広島1~6区の立候補者一覧(計21人の略歴) 広島県福山市を区域とする広島6区。「人口が減っても豊かな将来をつくる」。自民党前職の小林史明氏(41)は20日、市郊外のスーパー駐車場に立ち、規制改革を通じた地方や産業の振興を訴えた。地元の道の駅の再整備や体験型観光に言及し「この町を離れた仲間や家族を呼び戻す」と力を込めた。 人口約45万5千人の同市には企業が集積する一方、人手不足は深刻さを増す。総務省の人口移動報告によると、2023年の転出超過は中国地方の市町村で3番目に多い2791人(外国人含む)で、進学や就職時期の流出が目立つ。市の予測では、0~5歳児や15~64歳の生産年齢人口も軒並み減る見込みだ。 「結婚どころか恋愛もできない」。共産党新人の重村幸司氏(73)は、非正規雇用が少子化に結び付いていると指摘。賃上げを伴う労働時間の短縮も主張する。この日は、親子連れでにぎわう公園前で平和や気候変動に触れ「子どもたちの未来を守る」と強調した。 連合広島の推薦を受ける立憲民主党新人の井上信也氏(47)は、商業施設前でマイクを握り「今の政治は危機的だ」と物価高などの問題を取り上げた。アベノミクスで賃金の格差が拡大したとして「普通に働く人が豊かになる政治を取り戻す」と声を張り上げた。 「ふるさと創生」を掲げた故竹下登元首相と、継承した故竹下亘元復興相の地盤だった「竹下王国」の島根2区でも人は減り続けてきた。島根県の調査で、2区の5市5町の人口は9月時点で33万7369人。10年前と比べて1割近く減った。 立憲民主党新人の大塚聡子氏(57)は「交通空白地」の解消を訴え「外から人を呼び込むだけではなく、地域に今いる人を大切にすることが未来につながる」と言う。 一方、亘氏の後継をうたう自民党前職の高見康裕氏(44)は、都市から人を呼び込む仕掛けが必要とし「関係人口を増やして、苦しい中山間地域を守る」と主張する。 共産党新人の亀谷優子氏(38)は、大企業が少ない地域の実情を踏まえて「中小零細企業こそ日本の宝。最低賃金を引き上げ、ゆとりのある生活につなげる」と説く。 3候補は選挙区の大半を占める中山間地域を小まめに回り、支持を呼びかけている。
中国新聞社