和歌山東、エース麻田を「猫の目起用」で甲子園初勝利 選抜高校野球
第94回選抜高校野球大会は第1日の19日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦が行われ、春夏通じて甲子園初出場の和歌山東は、エース・麻田一誠(3年)の4ポジションを巡る活躍で、倉敷工(岡山)を延長戦の末、8―2で降し、初勝利を挙げた。和歌山東は第6日(24日)第2試合の2回戦で、浦和学院(埼玉)と対戦する。 【和歌山東ー倉敷工の熱戦】 ◇本人も驚いた1試合4ポジションのワケ グラウンドのいろいろな守備位置に和歌山東の麻田が顔を出す。先発投手を務めながら二塁手、遊撃手、投手、右翼手、投手とめまぐるしく動く横手右腕の「猫の目起用」。麻田も「1試合で4ポジションは守ったことがない」と驚くが、起用には明確な意図があった。 打者の手元で動く直球を軸に、1点こそ失ったが七回まで許した安打は左打者への2安打のみ。持ち味である打たせて取る投球が実行できていた。 「終盤に打者の目が慣れてきていたが、右打者は打ちづらそうだった」と米原監督。それならばと、八回1死一、二塁で左打者の1番・藤井の場面で左腕・田村をマウンドに。十回1死一、二塁で左打者を迎えるところでは、左腕・山田に継投した。目先を変えて失点を防ぐ。練習試合で内野手もこなした麻田をグラウンド内にとどめておくことで、再登板の機会に備えさせた。 十一回2死一、二塁のピンチで3度目のマウンドに上がった麻田は、1点を失ったものの、最後は二ゴロに打ち取って試合終了。「投手の時は自分が抑える。他のポジションではさばいてやろうという気持ち」と言葉に力を込めた。 昨夏の甲子園優勝校・智弁和歌山と対戦した昨秋の和歌山大会準決勝も小刻みな投手リレーで勝利。甲子園でも戦い方が揺らぐことはなかった。全生徒、教職員が一体となって応援できる部がほしいと、軟式から2010年に硬式へ変わって12年。「新しい歴史の一ページをこの子たちが刻んでくれた」と米原監督。春夏通じて初の甲子園で校歌を響かせて、夢をかなえた。【藤田健志】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。