2024年中国自動車通信簿:余裕のBYD、シャオミ。苦しいXpeng、Zeekr
零跑汽車、低価格戦略が大当たり
零跑汽車は11月の販売台数が初めて4万台を突破した。2023年の年間販売台数は14万4155台だったが、24年の目標はその2倍近くの25万台に設定している。 2023年は月間販売台数が1万台を超える車種が一つもなかった零跑汽車だが、24年に打ち出した新型車で世間の評価を確実に変えた。20万元(約400万円)以下の市場に照準を合わせた新車種の「C16」と「C10」に加え、モデルチェンジした「T03」と「C11」は、いずれもコストパフォーマンスの高さで消費者の心をつかんだ。 低価格路線への転換が功を奏し、零跑汽車は月間販売台数を着々と伸ばしており、新興NEVメーカーの上位陣に迫りつつある。販売台数の増加はスケールメリットをもたらし、コスト管理の最適化も進んだことで、2024年7~9月期の粗利率は8.9%と前四半期の2.8%から大幅に改善し、調整後の純損失もやや減少した。
販売目標未達のメーカーが落ちこぼれた原因は?
小米、BYD、零跑汽車の3社は早々に当初の年間販売目標を達成した。理想汽車(Li Auto)も目標達成はほぼ確実だろう。極氪(Zeekr)、蔚来汽車(NIO)、賽力斯(SERES)の3社は達成率が80%を超えており、11月の販売台数から推算すると、12月の追い込み次第で目標を達成できる可能性がある。 しかし、それ以外のメーカーは販売目標達成には程遠い状態で、小鵬汽車(Xpeng)や埃安(AION)、智己汽車(IM Motors)などの達成率はわずか50%程度となっている。 その原因としてまず考えられるのは、年初に設定した目標が高すぎたことだ。たとえば、小鵬汽車は2023年の販売台数が14万1600台だったにもかかわらず、24年の目標を28万台に設定していた。 次に、新型車が振るわず、人気車種が出なかったことが考えられる。嵐図(VOYAH)や智己汽車の販売目標は特別高いわけでもなく、2024年には多くの新型車も打ち出している。嵐図は実力十分の新型車「夢想家(Dream)」や「知音(Zhiyin)」「FREE 318」などを、智己汽車は小米SU7をベンチマークとする「L6」を発売した。ただ、製品の位置づけやブランドの知名度などの影響もあり、これらの新型車は大ヒットに至らなかった。月間販売台数が安定して1万台を超える車種がせめて一つでもあれば、目標を達成できたかもしれないが。 賽力斯の目標設定も高そうに見えるが、ファーウェイと共同運営するスマートカーブランド「問界(AITO)」のSUV(多目的スポーツ車)「M7」が引き続き好調なため、目標の48万台は十分クリアできそうだ。とはいえ、中・大型SUV市場の競争は日増しに激しくなっている。理想汽車の「L」シリーズや零跑汽車の「C16」、智己汽車の「LS6」などにシェアを蚕食され、M7の直近の月間販売台数は1万6000台前後をようやく維持している状態だという。 *1元=約21円で計算しています。