加賀藩の遺産守る決意 利長の遺徳しのぶ 高岡の墓所で顕彰祭
●19代当主・利宜氏が初参列 地震被害の復旧これから 高岡開町の祖で加賀藩2代藩主の遺徳をしのぶ前田利長公顕彰祭は13日、高岡市関の国史跡前田利長墓所前で営まれた。能登半島地震で被災した墓所は、被害の復旧はこれからで、昨年11月に家督を継いで初めて参列した前田家19代当主前田利宜(としたか)氏(60)ら約100人が高岡のさらなる発展と加賀藩の遺産を守る決意を新たにした。 遺徳顕彰会長の角田悠紀市長が墓前で「高岡の発展は、利長公を敬愛してやまない市民の矜持。将来に一層のご加護をお願い申し上げる」と祭文を読み上げた。 茶道裏千家淡交会高岡支部の在田吉保支部長が献茶、角田市長に続いて前田利宜夫妻ら来賓が順に献花し、利長の菩提寺(ぼだいじ)である国宝瑞龍寺の四津谷道宏住職らが読経した。「瑞龍寺讃歌『ながれ雲』を歌う会」の24人が献歌した。式典後、墓所を一般開放し、市民が手を合わせた。 前田利宜氏は「毎年、高岡市民が墓所にお参りし、守っていただいていることに感謝します」と述べた。地震の被害について「灯籠が倒れるなど心配しました。国の支援も受けて今後、少しずつ修復されると思う」と期待した。 市によると、地震の影響で、御廟(ごびょう)の石塔頂上部にあった丸形の宝珠が落下したほか、石灯籠(いしとうろう)34基がずれるなど損傷し、うち2基が倒壊した。市は耐震化を施す必要があるため、修復はこれからとしている。 このため、市民が石灯籠に近づかないようにプラスチックの鎖を張って見学用の通路を設けている。 顕彰祭は利長が高岡城に入城した1609(慶長14)年9月13日を記念し、前田利長公遺徳顕彰会が毎年、行っている。 ●秋の情緒味わう一服 繁久寺で顕彰祭茶会 利長の遺徳をしのぶ顕彰祭茶会は13日、高岡市芳野の曹洞宗繁久寺(はんきゅうじ)で開かれ、茶道裏千家淡交会高岡支部が秋の情緒を感じさせるしつらえで来場者をもてなした。 同支部の篠原宗節常任幹事が席主を務めた。床には無学宗衍(そうえん)筆の「龍吟雲起(りゅうぎんずればくもおこる)」が掛けられ、カメの甲羅の形で、ツルの蒔絵の香合など、おめでたい茶道具を用い、メカルカヤやタカサゴフヨウなど秋の草花が会場を彩った。来場者は「こぼれ萩」のお菓子と薄茶を味わった。