「役者としての財産」映画『海の沈黙』女優・菅野恵、独占インタビュー。銀幕デビューと倉本聰との出会いについて
『北の国から』の倉本聰が60年前から抱えていたテーマを基に、脚本を執筆。『沈まぬ太陽』(2009)の若松節朗がメガホンを取り製作された映画『海の沈黙』が11月22日(金)より公開。今回は、倉本聰作品に多数出演し、本作で銀幕デビューを果たした菅野恵さんにインタビューを敢行。たっぷりとお話しを伺った。(取材・文:福田桃奈)
「倉本先生から役の履歴書を渡された」 出演の経緯と役作りについて
ーーー主演・本木雅弘さんを始め、小泉今日子さん、中井貴一さん、石坂浩二さん、仲村トオルさん、清水美砂さんら豪華キャストが出演されています。その中で菅野さんは本作が初映画出演とのことで、堂々のスクリーンデビューをされました。まず、出演の経緯について教えてください。 「2017年に倉本聰先生が主催されている富良野GROUPという舞台に出演したことをきっかけに、その後も倉本先生に色々と気にかけていただいていて、まるで遠くに住んでる孫じゃないですけど、『元気か?』と定期的に電話をくださっていたんです。その中で、本作の脚本を書いていることは知っていたんですけど、ある時『あざみという女の子を演じるのに適した役者がいなくて探してる』という話の流れから、声を掛けていただき出演が決まりました」 ーーー今回菅野さんは、本木雅弘さん演じる竜次を慕うバーテンダーのあざみという女性を演じられています。影がありながらも、その過去については明かされず、掴みどころがない役です。演じるのは難しかったのではないでしょうか? 「脚本を読んだだけでは、あざみという人物がどういう人なのかが分からなかったので、難しかったですね。脚本を基に自分でも色々想像を張り巡らせていたのですが、倉本先生から出演者全員に役の履歴が書かれたものを渡されたんです。そこには想像を遥かに上回る裏設定が書かれていました。そこから竜次に対する感情や、中井貴一さん演じたスイケンとの関係性など、履歴書には書かれていないことをイメージして、なるべくその場に自然と佇んでいられるように考えました」