「60代女性、夫が購入を即決した耳あな式の補聴器は正解だったのか」補聴器選びの基本を専門家が解説
補聴器はどんなタイプかによって、その後の使用感やお手入れ方法なども変わってくるという。実例相談をもとに、補聴器のタイプによるメリット・デメリットや選び方のポイントを、認定補聴器技能者で補聴器専門店を経営する田中智子さんに解説いただいた。
教えてくれた人
認定補聴器技能者・田中智子さん うぐいす補聴器代表。大手補聴器メーカー在籍中に経営学修士(MBA) を取得。訪問診療を行うクリニックの事務長を務めた後、主要メーカーの補聴器を試せる補聴器専門店・うぐいす補聴器を開業。講演会や執筆なども手がける。
相談事例「夫の補聴器の購入の仕方に疑問」
知人の女性(Aさん、60代)から、「夫が選んだ補聴器が正解だったのかよくわからなくて…」というご相談がありました。ご主人は60代後半になり、だんだんテレビの音量が大きくなり、話しかけても生返事のことが増え、難聴の進行が心配とのこと。 「補聴器なんて必要ない」と渋っていたご主人でしたが、なんとか耳鼻咽喉科を受診。その後、補聴器専門店に行ってみると――。 「夫は耳あなに入れるタイプの補聴器を即決、その場で耳穴の型取りをして帰ってきたというんです。電池交換を定期的にしなければいけないタイプ、しかも片耳だけ。価格は約20万円でした。最新式の補聴器は両耳で100万円くらいすると思っていましたから、これでよかったのかどうか…」 ご本人は「使いやすいし、だいぶ慣れてきた」と言っているものの、テレビの音量は以前と変わらず大きいまま。ご主人の選択は果たして合っていたのかと疑問を感じていらっしゃいます。
補聴器は色々なタイプを試してから買うべき?
まずAさんのご主人は、自ら耳鼻咽喉科を受診して補聴器をつける決断をされました。そのこと自体がとても素晴らしいと思います。この一歩がなかなか踏み出せないシニア世代のかたは多いんです。 Aさんがモヤモヤされているのは、「もっと色々なタイプを試してから決めるべきでは?」ということではないでしょうか。そこでまずは、補聴器のタイプについてお話していきましょう。