「60代女性、夫が購入を即決した耳あな式の補聴器は正解だったのか」補聴器選びの基本を専門家が解説
補聴器のタイプ「耳かけ型」と「耳あな型」が主流
現在販売されている補聴器は、「耳かけ型」と「耳あな型」が主流です。市場のシェアは、「耳かけ型」が約6割、「耳あな型」が約4割となっています。 このほか胸ポケットなどに入れて使う小型ラジオのような「ポケット型」もありますが、こちらは補聴器の全体の出荷台数の1%程度となっています。 補聴器の代表的な2つのタイプ「耳かけ型」と「耳あな型」それぞれのメリットとデメリットを挙げていきます。 「耳かけ型」補聴器のメリット 多くのかたが補聴器をイメージされる時に浮かぶ形が、「耳かけ型」のタイプではないでしょうか。各補聴器メーカーが新商品を出す際には、最初に「耳かけ型」タイプから発売することが多く、「耳かけ型補聴器」には各メーカーの最新・最高の技術が搭載されているケースが多いんです。 「耳かけ型」は、比較的どんな人にとっても付け心地が良く、耳に入れる部分(耳栓)は、サイズをや種類を選べるほか、自分の耳穴に合わせて作ることもできます。オーダーメイドで作る耳栓のことを、イヤーモールドと呼びます。 メーカーや種類にもよりますが、1~3万円程度でイヤーモールドを作ることができ、耳穴にフィットして音がよく聞こえ、ハウリングのリスクも下がることが多いようです。 ・各メーカーの最新の技術を堪能できる ・耳栓も複数のタイプを選べ、オーダーメイドもできる ・自分に合うものを探しやすい 「耳かけ型」補聴器のデメリット 「耳かけ型」のデメリットを挙げるとすれば「大きいものだと補聴器をつけていることがわかりやすい」「存在感が出てしまう」ということでしょう。ただし、「耳かけ型」でも小型で目立たず、装着していることがわからないものも多くあります。 耳の後ろに掛けて使うため、マスクやメガネなどと併用することが多い場合には、煩わしさを感じることがあるかも知れません。 ・大きいものを選ぶと目立つ ・マスクや眼鏡と干渉してしまう 「耳あな型」補聴器のメリット 「耳あな型」は耳の穴にすっぽりと収まるため、目立たず付けていることが周囲にわかりにくい。慣れてしまえば、自分の体の一部のように馴染み、眼鏡やマスクも気にせず、快適に使うことができます。 自分の耳の穴の形に合わせて、オーダーメイドすることがほとんどなので、しっかりフィットし、耳から落ちてしまうリスクも大きく低下します。 耳穴に合うオーダーメイドはとくに、補聴器から出た音がどこにもぶつからずに鼓膜まで届くため、音がキレイに耳に届けられるというメリットもあります。 ・目立たない ・眼鏡やマスクが気にならない ・耳にフィットし落ちにくく、効率よく音が届けられる。 「耳あな型」補聴器のデメリット 「耳あな型」が、耳の穴に本体がすっぽり収まるだけに、人によっては自分の声がこもって聞こえてしまうということもあります。 また、補聴器が耳穴の中で密着することで蒸れやかゆみを感じるかたもいらっしゃいます。特に耳垢がやわらかいタイプの人は、汚れが補聴器に入りやすいため、こまめなメンテナンスが必要になることも。 「耳あな型」には、充電式・電池式が選べます。メーカーや機種によっては、電池タイプしか発売していないものもあり、その場合は装着や電池交換などの際には手先による細かい作業を要し、人によっては扱いづらく感じることもあるでしょう。 耳かけ型は最新の技術が結集していると書きましたが、逆に言うと、耳あな型は、搭載されている機能が少ない場合があり、聞こえ以外の機能を重視したい方には適していないことがあります。 ・自分の声がこもって聞こえる人も ・耳に密着するので蒸れやかゆみが心配な人も ・電池タイプだと交換が手間 ・メーカーによっては、2~3世代前の機能を搭載した機種しかない