深刻な反抗期の原因にもなる「子どもの交友関係に首をつっこむ親」の問題点
親に信じてもらえない子どもの悲しさ
もしも、わが子が実際に非行に走ったり、生活態度が極端に悪くなっているなどがあれば、交友関係や行動について本人に聞いてみる必要はあるかもしれません。 しかし、子どもの交友関係を制限したりコントロールしようとするのは、子どもの自立を妨げる行為なのだということを知ってほしいです。 「お母さんは私のことを信じていない」と子どもに思われたら悲しくなりませんか。そのような子どもへの過干渉は、親が「手を貸さなければ、この子はなにもできない」と言っているようなものですから、それを感じた子どもは自信をなくしてしまう可能性もあります。 また、過干渉な親は、わが子が失敗しないように、道からはずれないようにと願って事前にリスクを排除しようとしますが、それでは子ども自身がやっていいこととダメなことを見極めて判断する力や、失敗から立ち直る力を育てていくことはできません。 どの親も、子どもが成長するにつれて自立してほしいと思っているのに、自らの手でその芽を摘んでしまっているとしたら......。
子どもが本音を話せる場づくり
子どもは、自分の話をちゃんと聞いてもらえると思えないと、なかなか本音を口に出してくれません。 不安の強いお母さんは、診察室で子どもの代わりに横から口を出す傾向があり、おそらく学校の先生と話すときも、親せきや知り合いの人と話すときも、とにかくいろいろなシーンで子どもの代わりに答えてしまっているのだと思います。 だから、子どもがなにか自分の話をする場面では、まずは親が黙って、子ども本人が安心して話せるような状況をつくってあげてください。どうしても子どもより先に話したいことがあったら、「お母さんが代わりに話していい?」と、子どもにひと言かけてから話しましょう。 どんなにもどかしく感じても、子どもが話す機会を親が奪ってはいけません。とくに診察室では、その子がなにを感じて、なにを思っているのか、いやいや連れて来られたにしても、どうしてここに来てくれたのかを子ども本人の口から聞きたいのです。 子どもがうまく答えられなかったら恥ずかしいと思うかもしれませんが、まわりの人がどう思うかを気にするより、まずは子どもの声に耳を傾けてください。世間の目よりも、子どもの目を見て、子どもの声を聞いてほしいのです。
精神科医さわ(児童精神科医)