入浴に寝かしつけも 人手不足に悩む夜間保育の現場は【WBSクロス】
全国の認可保育所の数は徐々に増え、現在4万カ所ほどになっていますが、夜10時頃まで預かってくれる夜間保育所は、全国で70カ所あまりにとどまっています。背景の一つにあるのが、保育士の人手不足です。広がらない夜間保育の現場を取材しました。 午前10時。東京・北区の夜間保育園「キッズタウンうきま夜間保育園」(認可)に園児たちが次々に登園してきます。川崎羽珠ちゃん(2)もお母さんに連れられてやってきました。ここから園の長い1日が始まります。 夜間保育園とは、夜間もやっている保育園のこと。日中は、一般的な保育園と同じように進みます。この日はクリスマスイブでサンタクロースが大きな袋を抱えて登場。羽珠ちゃんも嬉しそうな表情を浮かべます。 日が沈んだ午後4時半過ぎ。夜間保育ならではのお風呂の時間です。 「ここでゆっくりお風呂に入って、湯船につかってという、一般の人と変わらないような生活をできるように心がけている」(保育士の川口亜礼さん) お風呂から上がると、今度は夜ご飯。共働きでご飯の用意をするのが大変な保護者たちの助けになっています。 夜が進むにつれ、元気を増す子供たち。保護者が1人、また1人と迎えに来る中、羽珠ちゃんのお母さん、川崎雅子さんも帰ってきました。川崎さんは臨床心理士として働くかたわら、ひとり親として羽珠ちゃんを育ててきました。 「こういうところがもっと増えれば、仕事もあきらめず子育てもしながら、もっと葛藤とか子育てのストレスが少なくやれる人が増えるかなと思う。夜間保育園でなければ、今のような働き方は不可能だった」(川崎さん) 午後8時過ぎ、まだ残っている子供たちはお休みの時間。興奮してなかなか横にならない子供たちを先生が必死に寝かしつけます。 午後9時半、静かになったクラスに小走りで入ってきたお母さん。この日最後のお迎えです。 保育士の岡井梓さんは夜間保育園について「朝早かったり、夜遅くなったりというのは年々きついが、一般の保育園よりは、すごく子供との距離が近い。疑似家族、大家族のような感じ」と話します。 「キッズタウンうきま夜間保育園」では、この長い勤務時間を、早番、日勤、遅番とシフト制で回しています。ただ、園長の小泉美果さんは夜のシフトに入れる保育士を確保するのが特に大変だといいます。 「大変だけども、子供たちの笑顔とか保護者から感謝されることが多い。やりがいはあるので、保育士になりたいという人はぜひ来てほしい」(「キッズタウンうきま夜間保育園」の小泉美果園長) 午後11時、夜遅くまで働く保護者を救う、園の長い1日が終わりました。