「マネードクター」や「保険市場」を照準に金融庁が生命保険業界の便宜供与を実態調査
中堅生保のある幹部は「広告取引はSBI生命保険、ライフネット生命保険、アフラック生命保険、チューリッヒ生命保険、はなさく生命保険、なないろ生命保険あたりが多いと聞いている」と指摘。 さらに「過去に、保険市場への広告出稿を断ったら(アドバンスクリエイトでの)新規契約があからさまに減ったことがある。保有する医療保険の出再(再保険に出すこと)を断ったときも同様だった」と声を潜める。 ほかの販売ルートでは新規契約に大きな増減がなかっただけに、広告などの取引を断った影響と考えざるをえないという。広告や再保険の取引の有無が、比較推奨販売に影響を及ぼしている部分が少なからずあるということだろう。
FPパートナーへの便宜供与問題が取り沙汰された7月以降、金融庁が生保の動きに目を光らせる中で、一部の生保は取引の見直しに着手。東京海上日動あんしん生命保険とSOMPOひまわり生命保険の2社は、アドバンスクリエイトとの広告取引を見合わせる方針を決め、8月以降、その旨を同社に申し入れている。 また、広告出稿を営業部門で決裁していた生保では、広告出稿が宣伝効果だけでなく自社商品の優先的な取り扱いという営業上の効果も狙った事実上の便宜供与であると、金融庁に判定されるリスクが高まったと見て、営業部門から広告部門へ決裁権限を場当たり的に移す動きも足元で出てきた。
金融庁は現在、アドバンスクリエイトと生保の広告取引などの状況について、生保各社へ個別にヒアリング調査を始めている。そこに便宜供与に関する調査票も追加したことで、取引の見直しに動く生保は今後増えそうな気配だ。 アドバンスクリエイトの広告事業(メディア事業、メディアレップ事業)と再保険事業の売り上げは、2023年9月期で合計約46億円。全社売上高の45%を占める。生保による取引見直しの動きが広がった場合は、2025年9月期以降の業績に大きな影を落とすことになる。