メロンパンにクリームボックス…市民のソウルフード 福島県郡山市「大友パン店」が創業100年 人気店の一日に密着
多くの客でにぎわう福島県郡山市の「大友パン店」は、2024年で創業100周年を迎えた。地域に愛され続ける大友パン店の一日に密着した。 【画像】地元に愛され創業100年 大友パン店の一番人気は「クリームボックス」
人気は郡山市のご当地パン
朝早くから、店の調理場で生地を練るのは、3代目の吉田明弘社長。毎日200種類以上のパンを作っている。 午前7時半、オープンを待ち構えていたかのように通勤・通学する人が次々と来店。店の一番人気は甘さ控えめのクリームがたっぷりと塗られた「クリームボックス」で一日に1500個以上が売れる日もある。
創業時の思いをつなぐ
大友パン店は、郡山市が誕生した大正13年に「おいしいパンを少しでも安く届けたい」と大友武一さんが創業。 現在は、吉田社長と大友さんの孫で妻の和子さんを中心に、35人でその思いを受け継いでいる。妻の和子さんは「本当に小さな店なんですけれども、”守る”ことがすごく大変だなということをつくづく感じます」と話す。
大友パン店は高校でも人気
昼近くになり、従業員がたくさんのパンを積み込んで出かけた先は、学校での出張販売。平日は毎日、郡山市内の5つの高校を訪問し、腹ペコの生徒たちの胃袋を支えている。 生徒は「週4くらいで買っています」「毎日人気過ぎて売り切れてしまいます」と話す。
コロナ禍に物価高 悩んだ値上げ
幅広い年代から愛される大友パン店だが、商売を続けることは簡単ではない。コロナ禍では来店客や受注が大きく減り売上げは低下。そして、物価高も重なり、パンの値上げに踏み切った。 吉田社長は「高い商品だと20円ぐらいあがった商品もある。4月以降、原材料費だけで約100万円の増加」だと説明する。一部の商品に絞った値上げだったが、悩みに悩んだという。 「みんなは”大丈夫”って言っていますけど、実際どうなんだろ。自分だったら高いなと思うとか。上げたくはないですよね、やっぱり」と吉田社長は話す。
老舗を支える若い感性
ランチタイムを終えた店内には、売切れの商品が目立つ。そのころ調理場では、2年目の従業員・本田優希さんが再びパンを作り始めた。新しいメニューづくりも任される本田さんが作っていたのは「ケロケロコッペ」 「春休みに出していたのですけど、小さい子が好きかなって思って。なにか動物系のパンを出せたらいいなと思って」と話す。パン作りに情熱を燃やす、若い感性が老舗を支えている。