兄弟3人がそれぞれ「セコム」「オーケー」「天狗」の創業者、「飯田兄弟」を育てた父親は何を教えたのか
紋治郎氏のような父親はいまでは絶滅危惧種だろう。家庭では、ものわかりのよい「友達のようなパパ・ママ」がデファクト・スタンダードになっている。少子化が進む中、受験生確保に躍起になっている大学や人材不足で売り手市場に転じた企業でも、あまり厳しいことを言わない先生や上司が好まれる。一般社員が、管理職や社長を捕まえて「上から目線だ」と非難するようになってきた。 誰も厳しい指摘はしない、言葉に気を付けるばかりに言葉数が減り、遠慮だらけの「やさしき時代」が続けば、日本の未来はどうなっているのだろうか。筆者はたんに昔がよかったとは言っていない。「心理的安全性」「人的資本経営」を否定しているわけでもない。だが、温故知新も悪くないのではないか。
長田 貴仁 :経営学者、経営評論家