ファッションバイヤー独自の審美眼が光る、いま行くべきキュレーションショップ7選
【渋谷】 フェイ
1960年代の建物の一室で、エッジィな個性に出合う 渋谷駅から代官山に向かう途中に位置する、飲食店やオフィスで賑わう桜丘エリア。高度成長期の1960年代に施工された古いマンションの一室に、この店はある。訪れるのは、インスタグラムでリサーチを欠かさないエッジィなファッション好きで、30代の男性が多い。ファッションの輸入代理店にいた高橋洋平が独立し、コロナ禍の2020年にオープン。取り扱いブランドは約15ほどで、他店で見かけないニッチなセレクションが楽しい。地方の個人店のように高橋がひとりで接客も担う親しみやすさも、フェイの大きな魅力である。
【祐天寺】 キーライム トーキョー
ベーシックを極めた、“その先”にある日本回帰 フランス・パリに住み店を経営する関隼平が、東京発信の新拠点をつくった。場所は祐天寺と学芸大学の中間に位置する穏やかな住宅地。型数を絞った少数アイテムのみを置いている。取り扱いブランドで注目すべきは、関の思い入れが深い名古屋のダル、ホークといった、国産生地を使った地方発信ブランドだ。店のアイテムで比重が大きいのは関がデザインするS Hを中心とするシャツ。上質な洗いざらしシャツ+デニムの快適なベーシックを、一歩先へ進める大人の提案。関のブログ愛好者をはじめ、彼の世界観に賛同する人を虜にすること間違いなしの店だ。
【青山】 アーチ 南青山
他店のスタッフも通う、プロ御用達の品揃え 南青山エリアに珍しくラギッドなメンズショップができたことで評判の、アーチ南青山。根津美術館と同じ通り沿いに2022年にオープン。2フロアの広い店内に並ぶ品はどれもひと癖あり、服好きの心をつかむ。他店の販売員が休日に私服を買いに訪れるほどの個性ある品揃えだ。北海道に3店舗を構えるアーチの東京進出2店舗目に相当するこの店では、フレンチワークといったヨーロピアンヴィンテージと新品が同じ世界観を共有して並ぶ。新品はウティやボンクラなどの国内ブランドにインポートブランドも。大人の感性にジャストフィットするだろう。
【池ノ上】 フリー
下北沢から一歩離れた、ローカルエリアで古着を 若者が集う古着の聖地である下北沢の隣駅、池ノ上にある古着店。築60年近くの狭小な木造2階建てをローテクに改装した空間だ。品揃えはノンジャンルで、並ぶのは1960~2000年代が中心。オーナーの末永竜介が取引する古着業者がイタリアにある背景もあり、イタリアブランドの多さが印象的だが、日本のデザイナーズも散見する。ファッション歴が長い大人ほど発見を楽しめるだろう。さらにこの店ならではの個性のひとつが、古い映画や舞台の衣裳を取り扱っていること。ファンタジックな手づくり服を手に取れる貴重なチャンスだ。
写真:溝口 拓 文:一史