これではファンも悲鳴…日本のプロサッカーは三大会が錯綜して複雑怪奇すぎ!
女子サッカーの世界
暮れも差し迫った12月29日の日曜日に、東京・国立競技場で女子サッカーの「クラシエカップ」決勝が行われる。対戦カードはINAC神戸レオネッサ対サンフレッチェ広島レジーナ。 ついに職務停止…尹錫悦大統領「5回の談話」の恐るべきKY度 I神戸は、2021年に開幕した女子プロリーグの「WEリーグ」の初代女王であり、「日テレ・東京ベレーザ」、「浦和レッズ・レディース」と並んで、日本の女子サッカー界「3強」の一角だ。 一方、広島はWEリーグ開幕を前に、Jリーグの強豪サンフレッチェ広島が新たに立ち上げた女子チーム。いわば「新興チーム」なのだが、今年の2月に広島に新しいサッカー専用球技場「エディオン・ピースウイング広島」が完成してからは「新スタジアム効果」もあって毎試合2000~3000人の観客が集まるようになり、成績も上昇。全日程の半分の11試合を終えたWEリーグでも「3強」に次ぐ4位につけている。 ところで、大部分の読者にとって「クラシエカップ」というのは、まったく聞きなれない大会名だろう。 それもそのはず。いわゆるリーグカップで、今年度から医薬品・食品メーカーのクラシエが冠スポンサーに付いて「クラシエカップ」となったばかりの大会なのだ。
複雑化するプロ・サッカー
プロ・サッカーの大会には3つの大会がある。 一つはリーグ戦。実力に合わせて1部、2部、3部……と分かれて、ホーム&アウェー総当たりのリーグ戦を行ってチャンピオンを決める。リーグ戦の優勝者がその年の最強チームと見なされる。 そして、カップ戦、つまりノックアウト式のトーナメントが2つある。 一つは、プロ・リーグに加盟したチームだけが出場するカップ戦。これがリーグカップ。そして、もう一つがナショナル・カップ。プロ・チームだけでなく、その国のサッカー協会に登録している全チームに挑戦権が与えられる。 日本のプロ・サッカーでは、J1、J2、J3の3つのリーグ戦が行われ、J1優勝チーム(今年はヴィッセル神戸)が最強の日本チャンピオンと呼ばれる。そして、Jリーグ加盟全60チームが出場するリーグカップとして、「YBCルヴァンカップ」がある(名古屋グランパスが優勝)。 リーグ戦とリーグカップの主催者は、Jリーグ(公益社団法人日本プロサッカーリーグ)だ。 一方、公益財団法人日本サッカー協会(JFA)主催のカップ戦が天皇杯全日本選手権で、都道府県リーグ所属のチームなど全チームが出場する。 女子の場合も形式はほとんど同じだ。 女子のプロ・リーグが「WEリーグ」(公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ)で、まだ2部以下はない。そのWEリーグが最強チームを決めるリーグ戦で、所属12クラブによるリーグカップが「クラシエカップ」。そして、JFA主催で国内の全チームが出場するのが皇后杯全日本女子選手権だ。 これだけでもかなり複雑で、一般のファンには分かりにくいかもしれない。そして、さらに分かりにくなってしまったのは、今シーズンは「クラシエカップ」と皇后杯が、同じ時期に行われているからだ。 昨年は8月にリーグカップが行われ、その後、リーグ戦が開幕。12月にリーグ戦が中断して、その間に皇后杯というスケジュールだった。だが、今年はリーグ戦と「クラシエカップ」が並行して行われ、12月にリーグ戦が中断してから「クラシエカップ」の準決勝(12月8日)、決勝(29日)が行われた。さらに14日には、WEリーグ勢も出場する皇后杯5回戦があった(4回戦までは、アマチュアチームだけで戦った)。 従って、12月は1日までリーグ戦が行われ、その後、2つのカップ戦が並行して開催されているのだ。分かりにくくなったはずだ。