日本初インドネシア選手主体の新プロ球団 狙うNPB入りと世界4位の2・7億人市場開拓
佐賀県にインドネシア代表選手を主力としたプロ野球チームがある。独立リーグ「九州アジアリーグ」に準加盟して活動するのは「佐賀インドネシアドリームズ」(同県武雄市、嬉野市)。今春誕生したばかりのチームだが、野球発展途上国の選手にプロのステージを経験してもらうことで野球を普及させ、将来的には東南アジアでプロ野球リーグを開催することが目標という。 【写真】佐賀インドネシアドリームズのリズキー主将 所属するのはインドネシア12人、スリランカ4人、日本3人、フィリピン2人、シンガポール1人の計22選手(5月30日時点)。外国籍の選手はほとんどが代表歴を持つプレーヤーだ。元千葉ロッテの香月良仁氏(40)を監督に熊本、北九州・下関、大分、宮崎に本拠地を置く4チームで構成する九州アジアリーグに今季から準加盟した。 ■仕掛け人は元社会人野球選手 運営しているのは福岡市でアマチュア野球専門誌を発行する福原佑二球団社長(41)。社会人野球の経験もあり東福岡高校時代にはセンバツ8強にも貢献した。 「日本初の外国人選手主体のプロ野球チーム」という異例のプロジェクトは2018年に野球普及のためインドネシアを訪れたことから始まった。 現地で子供たちに野球を教えても「おなかがすいて食費がかかる」と親が止める。学生は国の支援があるが、大人になると生活が成り立たず、やめてしまう。福原さんは「野球を続けていけるステージが必要」と現地の日本企業を中心に訴えたが、社会人リーグなどの創設は難しかった。日本の社会人チームや独立リーグ関係者に現地に来てもらっても選手獲得には至らなかった。 「人に頼るんじゃなく、自分でやるしか…」と考えていたところ、日本のアマチュア野球を統括する全日本野球協会の山中正竹会長と出会い、「野球の発展には世界の人口の半分が住むアジアでの普及が必要」と背中を押されたという。 現地の指導で知り合ったインドネシア野球代表の元監督、野中寿人(かずと)氏(63)を会長に迎え昨年1月、「NEOアジアプロ野球機構」を設立。インドネシアのジャカルタを本部にフィリピン、スリランカ、ベトナムに支部を置き、将来的にチームの所属先となる団体作りから始めた。 ■バリ島で再び野球に