脱日本、「子ども単身でイギリスのボーディングスクールに留学」の納得事情 費用は決して安くない、子の成長考えて検討を
入学時の英語力はどの程度必要なのか?
では、入学時の英語力はどのくらい必要なのか。一言でいえば、現地で英語の授業についていけるレベルとなるが、前述のボーディングスクール・フェアに登壇したJ PREP代表の斉藤淳氏は、わかりやすい例として英検を上げ、あくまで目安としたうえでこう話す。 「小学校から入学するのであれば英検3級から準2級ぐらい。中学校からなら英検2級を取得していれば、授業についていけるレベルには到達している。日本の中学受験でいえば、英語入試を実施している上位校のほうがハードルが高い。高校や大学からであれば英検準1級、1級を念頭に準備すると選択肢が広がる」 とはいえ、英語力はあるにこしたことはない。これで十分とは考えずに、英語力向上に継続して取り組んでおくのがよいだろう。 英語塾を経営する斉藤氏は、現在は海外留学を目指す生徒の支援もしているが、自身が米・イェール大学の寮で生活した経験、またアメリカで多くの留学生を見てきた立場から、イギリスのボーディングスクールを高く評価する。 「ティーンエージャーの教育は難しいが、子どもが成長する中で年齢に応じた課題や、さまざまな国から来る留学生への対処など、英国の寮制教育は歴史が長くノウハウが確立している。GCSEやAレベル、IBDPなどを通じた学力養成、その評価の仕組みもしっかりしている。ただ医学部や工学部に進むのなら、国内で十分という考え方もあり、海外で中等教育を受けさせるなら、リーダーとして国際秩序形成に参画する意思を本人と話し合ったほうがいいのではないか」 現実的な問題として、やはり誰でも行けるところではないということもある。学費をはじめとする留学費用は、決して安くはないからだ。 イギリス私学団体のIndependent School Councilによると、3~13歳が通うプレップスクールで年間約500万円、13歳から通うシニアスクールで年間約700万円(1ポンド187円で計算)かかる。そのほかにも制服や学用品、イギリスへの渡航費、修学旅行・遠足、医療保険、ガーディアン(身元引受人)手配費、ホストファミリー宅の滞在費、家庭教師代なども追加でかかってくる。 そのうえ円安だ。日本にいたとしても塾や習い事などで費用はかかるため、勉強からスポーツ、文化活動までワンストップでお任せできるボーディングスクールの費用は、そこまで高くないという考え方もある。だが、それなりの費用がかかること、また長期にわたって子どもと離れて生活することをふまえたうえで、どんな子どもに育ってほしいのか、留学を通じて子どもがどれだけ成長できるのか、家庭で十分に話しあいたいところだ。 では実際、どのようにボーディングスクールを選べばよいのかについては、後編につづく (文:編集部 細川めぐみ、注記のない写真:Malvern College提供)
東洋経済education × ICT編集部