脱日本、「子ども単身でイギリスのボーディングスクールに留学」の納得事情 費用は決して安くない、子の成長考えて検討を
「国際的に通用する資格」を取得できるのが魅力
来日したボーディングスクールの顔ぶれも豪華で、世界的な名門校として知られるラグビー・スクールのほか、イギリスの名門女子校チェルトナム・レディス・カレッジ、男子校の名門アビンドン・スクール、IB(国際バカロレア)スクールとして有名なセブノークス・スクールなど総勢15校が集まった。 現在、イギリスには私立のボーディングスクールが434校あるが、創立から数百年経つというところも珍しくなく、中には1000年以上の歴史を持つ学校もある。その多くが郊外にあり、自然豊かな広大な敷地の中に校舎や寮はもちろん、スポーツや芸術などに親しめる施設を数多く備えている。伝統的で美しい建物が並ぶさまは、まさに「ハリーポッター」さながらの世界で、写真を見ただけでも魅了されてしまう。 各学校の特徴は、理数科目に強い学校、テニスに力を入れている、あるいは音楽に力を入れている学校、留学生が多くサポートが充実している学校などさまざまだが、教科学習のみならず芸術やスポーツに力を入れるなど、知識や技能の習得にとどまらない全人教育を掲げている学校が多い。さらに1クラスの人数が、教員一人に対して小学校は9.3人、中学・高校は7.9人※と少人数で、日本とは比べものにはならない手厚さだ。 ※INDEPENDENT SCHOOLS COUNCIL「ISC CENSUS AND ANNUAL REPORT 2023」 イギリスには16歳の子が受けるGCSE(General Certificate of Secondary Education)と呼ばれる10科目前後で構成される中等教育試験がある。9~1で評価され、その後の進路にも影響するのだが、このテストの結果で学校全体のレベルがある程度わかる。だが、それぞれの学校の特徴が大きく異なることから、学力だけでなく子どものやりたいことや得意なことなども含めて学校選びをすることが大切だという。 16歳から18歳にかけては、学校により異なるがAレベル(Advanced Level Qualifications)またはIBDP(International Baccalaureate Diploma Programme)のカリキュラムで学ぶことになる。 Aレベルは、ケンブリッジインターナショナルが提供する高等教育機関入学のために必要な資格で、イギリスの高校のほとんどが導入している。約55科目の中から3科目を選択して受験し、その結果で大学の合否が決まる。 一方、IBDPは国際バカロレア機構が提供する16~18歳を対象とした大学入試準備プログラムだ。6つのグループから上級レベルの科目を3つ、標準レベルの科目を3つ、合計6科目(各科目最大7点)を履修。さらに課題論文、知の理論、創造性・活動・奉仕から各1点が加わる。IBDPの資格取得には45点満点のうち原則として24点を取る必要がある。スコアにより出願できる大学が違い、合否判定に使用される。世界各国の大学を受験できることから、イギリスでもIBDPを導入する学校が増えている。 ボーディングスクールで学ぶことで、こうしたAレベルやIBDPなど国際的に通用する資格を取得できる、つまりイギリスのみならずアメリカなどの海外大学進学に近づくことができるのは何よりの魅力といえるだろう。