「本番で緊張して実力が出せない」→東大生の教える克服法が実用的だった!
三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第14回は【緊張の克服法】について考える。 【画像】「いつも実力を出しきれない人」に共通する、最大・最悪の弱点 ● ムダな緊張は「本番直前のルーティン」で消える 東大受験に向けセンター試験の過去問を解いた早瀬菜緒は、思っていたよりも好成績をとっていたことに気づく。 一方で、同じ問題を解いた天野晃一郎は自分の成績の悪さに嫌気がさし、東大専科を辞めることを決意する。東大合格請負人・桜木建二は天野の弱点は「本番で実力を発揮できない精神面の脆さ」だと分析し、自力で戻ってこなければ「あいつは見放す」と衝撃の言葉を放った。 テスト本番で緊張してしまい、思い通りの結果を出すことができなかった苦い経験は、誰しもあることだろう。 緊張を克服するのは、そう簡単なことではない。私もテストの時にはいつも緊張する。 少しでも緊張を抑えるために何が必要だろうか。まずはテスト前。最初にして最大の難所だ。なぜかというと筆記用具や参考書に触ってはいけない時間が必ず存在するからだ。 一番大事なのは、この時に空白の時間を作らないことだ。この際「何をするか」はそこまで重要ではない。テスト前の10分や15分で何かをしたところで点数に直結する可能性は極めて低い。自分で今はこれをしているんだ、という「何か」があればそれでいい。 例えば私は、忍者の「印」を結ぶという厨二病チックの手遊びを毎回机の下でやっている。忍者にハマっていた小学2年生のときに覚えて以来、クセになってしまった。そういえば、私の友達の中には頭の中で「周りの人は俺より偏差値が低い!」と叫んでいるという人や、推しの曲を脳内再生しているという人もいた。 教科に直結したことをしたいなら、頭の中で「絶対に忘れていないこと」を唱えるのが有効だ。化学の前の元素記号、日本史の前の総理大臣一覧、自信がなければ数学の前に1から100まで数えているのもいいだろう。アルファベットだと短すぎるかもしれない。 慣れてきたら、試験開始直前のルーティンとなって、意識せずとも自然にできるようになる。 ● 「緊張の克服」こそが、合否を分ける 個人的に盲点だったのが、試験後の答案回収時間だ。普段の模試や学校のテストだと、長くても5分が相場だ。 しかし東大受験の本番は、回収した答案を会場ごとにまとめる時間まで生徒は着席していなくてはならない。その間なんと約30分だ。つまり、1教科の試験が終わるごとに、毎回30分間も無言で座り続けていなければいけない。 厄介なのは、その間に問題を反芻してしまうことだ、特に解けなかった問題の答えを思いついてしまうと辛い。 後の教科に悪影響を与えないためにも、その30分間で考えておくことを事前に決めておくのもいいだろう。例えば、国語の試験後には、次の数学の試験に向けて、20xx年の過去問を頭の中で復習しておく、といったように。 試験前・試験中・試験後を問わず一番忘れないでほしいのが、本番で緊張するのは全員だ、ということだ。 誰か1人にとっての「緊張しなければ解けていた問題」はそのほかの大多数の人にとっても「緊張しなければ解けていた問題」だ。何より、そんな言い訳は自分以外誰も聞いてくれない。 合格最低点を目指すのはいいし、本番に強いというタイプの人がいるのも事実だ。しかし、いざという時に人物の名前や英単語をど忘れすることは誰にだってある。 だからこそ、本番の緊張の中での8割9割の実力でも合格できるように、普段から必死に勉強するというのが受験生の目指すべき姿勢ではないだろうか。
土田淳真