日米野球で勝ち越した侍Jは、本当にMLBに肩を並べたのか?
「甘くいったら怖い」 侍ジャパンのキャプテンで捕手としてリードを預かった楽天の嶋が言った。 8年ぶりに復活した日米野球は、4戦を終えた時点で侍ジャパンの3勝1敗。すでに1990年以来、24年ぶりの勝ち越しを決め、明日18日に札幌ドームで行われる最終戦では、日ハムの大谷翔平の先発予定がアナウンスされている。 この3勝1敗の数字は、日本の野球がもはやメジャーと肩を並べたと考えていいのだろうか? 勝ち越した24年前と比べるのは、もはやナンセンスだが、実際に戦った侍ジャパンの実感は、「たいしたことがない」ではなく、集中力を持たねば「やられる」なのだ。 第4戦に先発した藤浪晋太郎も、サンタナが自己最速タイの157キロのストレートを引っ張ってライトポール際に大ファウルを放った1球に衝撃を受けていた。 「157キロを踏み込んで引っ張られた記憶は過去にない」 簡単に、ここまでの4試合を振り返ると第1戦は、前田、牧田、大谷、西野の4人で完封リレー。松田の犠飛、山田のタイムリーで奪った2点を守った。 第2戦は、来日している11球団のスカウトが注目していた金子が3失点したが、柳田のスリーベースで勝ち越し、松田も追撃の2ラン。金子の後を継いだ松葉、井納、高橋がリードを守った。この試合では、9回二死二塁のピンチで松田が敬遠で歩かされるという珍しいシーンまであったが、「松田は振れていたし、次の銀次となら左対左。ダメージを最小限に食い止めるマッチアップを考えた正しい作戦」と、ファレル監督が説明していた。そして第3戦は、則本、西、牧田、西野が、日米野球に新しい歴史を作ったノーヒットノーラン継投。打っては、中田、坂本の本塁打攻勢でスコアを刻んだ。 第4戦では、全米は大幅に打線を組み替え、藤浪を攻略した。「ノーヒッターの後には何かを変えなければならない。カノも怪我で欠場した。モーノの前にランナーを出しておきたかった」とファレル監督は、その狙いを説明していた。 結局、ロンゴリアに本塁打が飛び出すなど、2桁安打で侍ジャパンに打ち勝った。その試合で印象的だったのは、好投した先発のカプラーノが「我々にもプライドがある」と語ったことだ。 日本の投手力、メジャーの爆発力の対決図が明確になってきたが、この4試合で日米の野球を比較、総括するのは難しい。おそらく親善試合を含め、残り2試合を見ても同じだろう。今回の日米野球で比較論をできかねる理由のひとつがメジャー軍団の観光気分と準備不足である。