日米野球で勝ち越した侍Jは、本当にMLBに肩を並べたのか?
第2戦で全米の先発マウンドに立った岩隈など、今シーズン、179イニングも投げたオフである。元々、肘に不安も持ち、本来ならシーズンの疲れをとるべき時期に引っ張り出されて気の毒なほどだった。 ダルビッシュ、田中将が故障を抱えて出場が不可能だったため、興行的には、日本人メジャーリーガーの凱旋として今季16勝利の岩隈が出場を依頼されるのは、仕方がなかったのかもしれないが「ストライクが入るかどうか心配だった」というほどの状況で、かたや本気モードの侍ジャパンのマウンドに上げてやるのはいかがなものか。 全米の、ほとんどの選手が、準備不足に加えて、時差解消もできないまま、ぶっつけ本番、ポテンシャルだけで野球をやっている。唯一の勝ち投手となったカプラーノは、「一度投げたし、ここ数試合ベンチで野球を見て研究できたから」と好投理由を自己分析していたが、たった5試合では、慣れてきた頃にゲームセットだろう。 選手の顔ぶれもオールスターチームとは言いかねる。 当初予定したプホルスが欠場。特に投手陣のレベルがB級。今季の投手各部門のトップ3に入っている選手が一人も入っていない。「肩は消耗品」の考え方を持っていて、しかも大型契約をしている投手が、このオフに日米野球にくる理由がないのは理解できるが、こういうマッチアップで真剣に日米野球レベルのリトマス紙とするには無理があるのである。 1990年の日米野球勝ち越し時の日本代表メンバー(当時中日)で、WBCで2度投手コーチを務めた与田剛氏も、「おそらくアメリカ側は、親善試合の意味合いが強く、時差や試合開催の時期を考えると、勝敗でイコール日米の力を推し量るのは問題があるでしょう。特にトップクラスのピッチャーはリスクを犯して、こういう試合には投げません。それにWBCを見据えた短期決戦を想定した比較なのか、日米のプロ野球レベルの比較なのかを混同して考察することも避けなければならないと思います」と言う。