「福男選び」裏方に能登の被災男性 震災復興した兵庫・西宮神社「パワーを故郷に持ち帰る」
えべっさんの総本社、西宮神社(兵庫県西宮市社家町)で10日早朝に行われる開門神事「福男選び」で、開門まで門を支える「門押さえ」を、能登半島地震で被災した小林隼也さん(31)が担当する。小林さんは「これまでにいただいた支援への感謝を伝えたい」と思いを込める。 【写真】福男受け止める神職は“体育会系” 西宮神社の開門神事 小林さんは石川県珠洲市の須受八幡宮で権禰宜を務めている。能登半島地震では両親と暮らしていた七尾市の自宅が半壊し、約1カ月間、近くの公民館で寝泊まりした。全国各地から次々に届く食料品や日用品を見て、感謝が湧いてきたという。 現在は金沢市に移住。阪神・淡路大震災で被災した西宮神社が震災30年の節目に開門神事を特別なものにしようとしていると知り、裏方のスタッフとして協力することを決めた。 8日に西宮神社を初めて訪れた小林さんは、背中に大きく「能登」と刻まれた法被をまとい、開門時の動きを確認。神事を運営する「開門神事講社」の平尾亮講長(48)から「一番だめなのは転ぶこと」などと指導を受けていた。 テレビで福男選びの参加者が開門と同時に境内になだれ込む姿を見たことがあり、「やる気が込み上げてきた」と小林さん。「再び栄えた西宮の街や、そびえ立つ大門を見て、どんな震災からも復興できるという勇気が湧いてきた。気を引き締めて本番に臨み、西宮から得たパワーを能登に持ち帰りたい」と力を込めた。(地道優樹)