共和ヴァンス氏と民主ウォルズ氏が「10.1ガチンコ対決」、アメリカ大統領選は副大統領候補で決まるかもしれない
最近の筆者は、アメリカ大統領選挙をテーマとする講演会の機会をたくさん頂戴している。9月は、よくこんなジョークを「つかみ」に使ったものだ。 「トランプ対ハリスの対決とかけて、大谷翔平と解きます。その心は『50:50』(フィフティ・フィフティ)」 あいにく現在の「オオタニサン!」は、ホームラン数も盗塁数も50を超えて前人未到の領域を突っ走っており、このジョークはすでに「使えない」ものになってしまった。
■アメリカ大統領選挙は相変わらず「50:50」 ところが大統領選挙は、あいかわらず「50:50」なのである。投票日は5週間後に迫っているというのに、どっちがリードしているのかわからない。これだけの接戦は、おそらく2000年の「ブッシュ対ゴア」以来であろう。 ここまで僅差となると、通常であれば見過ごされることが多い副大統領候補が意外と重要になるかもしれない。日本で臨時国会が召集され、新しい首相が誕生する予定の10月1日には、副大統領候補同士のテレビ討論会がニューヨークで行われる(日本時間では翌10月2日午前10時から)。司会はCBS放送が担当する。
共和党の副大統領候補J.D.ヴァンス上院議員(オハイオ州、40歳)と民主党の同候補ティム・ウォルズ知事(ミネソタ州、60歳)は、果たしてどんな論戦を展開するのか。ここでは2人の副大統領候補について掘り下げてみよう。 ■トランプ氏が後継者として推した? J.D.ヴァンス氏 まずは共和党のJ.D.ヴァンス氏から。 トランプ氏が副大統領候補を発表したのは、共和党全国大会直前の7月15日のこと。「奇跡の1枚」の写真で知られる7月13日の銃撃事件の直後であり、「神に守られた候補者」として一種のカリスマ性を帯びていた時期である。
副大統領の候補者として、ヴァンス氏はかならずしも本命ではなかった。下馬評に上がっていたのは、「実務能力ならダグ・バーガム知事(ノースダコタ州)」「外交力重視ならマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)」「黒人票を味方につけるならティム・スコット上院議員(サウスカロライナ州)」などであった。 ヴァンス氏の指名には直前の「変心」があったらしく、長男であるドン・トランプ・ジュニア氏の推薦が決め手だったとも伝えられている。ヴァンス氏はドン・ジュニア氏と同じミレニアル世代で、かねて親交が深いのである。