不動産会社の女性経営者が教える! 単身者専用、女性専用、ペット専用…トラブルを招く「専用物件でのNG行動」
初めてのひとり暮らしのお部屋は、後悔せずに選びたいですよね。今回は、女性に特化した不動産会社を経営する 平出雅美さんに「賃貸の専用物件」について教えてもらいました。プロからのアドバイス、ぜひ物件選びのヒントにしてください。 【保存版】金銭面でトラブルになるケースも!? 「専用物件のNGチェックリスト」はコチラ。
不動産会社の女性経営者が教える! 単身者専用、女性専用、ペット専用…トラブルを招く「専用物件でのNG行動」
【女性が知っておくべき「賃貸物件」基本のき】vol.64 ――専用物件とは具体的にどのような物件のことでしょうか。また、人気の専用物件についても教えてください! 平出さん 専用物件とは、入居者を限定して募集している物件のことをさします。よく聞くのは「単身者専用物件」「女性専用物件」「学生専用物件」、事務所使用不可の「住居専用物件」などですね。他にもペットと住むことを前提に設計された「ペット専用物件」、防音設備を備えた「楽器演奏専用物件」などもあります。 当社では、女性向けの不動産会社ということもあり「女性専用物件」が人気です。特に初めてのひとり暮らしの場合は、同じマンションの住民や隣人がどんな人かというのは気になると思いますので、専用物件であれば最初から入居者の属性がわかるため安心できます。他にも最近では「ペット専用物件」も人気。ペットOKなだけではなく、専用のドッグランや足洗い場がついていたり、お部屋の内装や仕様もペットに配慮したものになっているためペットと住みやすくなっています。物件数は少ないですが猫専用物件もありますよ。 ――専用物件に住む際に注意した方がいいこと、また、オススメしないNGな専用物件がありましたら教えてください! NG1. 「女性専用物件として募集している物件に、男性が住んでいる物件」 平出さん 女性専用物件といっても、建物全体が女性専用になっている場合と、女性専用物件ではないのに女性の入居者を募集したいために、女性専用物件と謳っている場合があるので要注意。女性は部屋をキレイに使ってくれてトラブルも少ないことから、なるべく女性に住んでもらいたいというオーナーは少なくありません。女性専用物件に住みたい場合は、住む部屋だけではなく建物全体が女性専用物件になっているのかどうかは必ず確認することをおすすめします。 NG2. 「ペット専用物件はご近所トラブルに注意」 平出さん ペット専用物件だとしても、共用スペースやエレベーターではペットを抱きかかえる、ベランダには出さないなど、物件によってルールが決まっているため、入居前に飼育規則については必ず確認するようにしてください。ペットの種類によって鳴き声や足音、においなど、自分が気を付けていたとしても逆に隣人のペットの問題に悩まされることも。また、ペット専用物件は初期費用や退去費用が通常より高額になる場合が多いです。金銭面でトラブルになることも少なくないため、契約時に退去費用についても確認しておきましょう。 NG3. 「楽器演奏専用物件でも騒音とみなされる場合もある」 平出さん 地域によって異なりますが、騒音の基準として、昼間は45~55デシベル、夜間は35~45デシベル以上だと騒音とみなされてしまいます(※) 。ピアノやエレクトーンなどの演奏音は70~80デシベルとなり騒音の基準値を超えてしまうため、集合住宅では楽器の演奏は原則禁止となっている場合が多いです。楽器可になっている物件は、防音サッシや室内防音扉があったりと、音が漏れないよう工夫されていてメリットが多いものの、趣味で楽器を習っているかたから音大生、プロミュージシャンまで根強い需要が多く、さらに物件の数が少ないため、なかなか空いている物件が見つからなかったり、家賃が少し割高となっていることが多いです。 NG4. 「同居を視野に入れているなら、単身者専用物件の記載には注意」 平出さん 「2人入居不可」と書いてある賃貸物件の図面を見たことがある人もいると思いますが、これは「単身者専用物件」という意味です。生活騒音トラブルを防ぐために、生活スタイルが似た単身者に入居者を限定していることが多く、パートナーや家族、友人などと一緒に住むことができません。意外と見落としがちな点で、後で「彼氏と同棲できない物件だった」と気付いて後悔する人も。将来同居することがあるかもと思う人は、募集ページに「2人入居可」と書いてある物件を選ぶようにしましょう。 ――実際にお客様や平出さんのお話で「この専用物件は思っていたものとは違った」「この専用物件に住んで後悔した」というエピソードはありますか? 平出さん 女性専用物件に住んでいでいたお客様で、彼氏や家族を家に呼べなくて後悔したという話を聞きました。物件によりますが、女性専用物件は男性の出入りが禁止されていることが多いです。男性の出入りがないことは安心感がありますが、彼氏や家族を招きたいという方にはデメリットにもなります。 ――専用物件はおすすめですか? 快適な専用物件を選ぶために大切なこと、ポイントなど平出さんの意見を教えてください。 平出さん 専用物件は入居者のターゲットを絞っているため、自分に合った専用物件を選ぶことで快適に過ごせるためおすすめです。ですが、ペット可の物件に住んだら他のペットの音や匂いに耐えられなかったというお話や、楽器可の物件に住んだら周りの住人の常識外の時間の演奏に悩まされたという話を聞いたことがあるため、最低限のマナー、多少のことは許容する思いやり精神は必要だと思います。 快適なひとり暮らしを始めるために知っておこう 物件探しは賢く丁寧に。引っ越しを検討している人は、今回のポイントをぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。 (※)参照:環境省HP「騒音に係る環境基準について」 教えてくれた人 株式会社東京女性不動産 代表取締役社長 平出雅美さん 宅地建物取引士所持。不動産歴3年目、2021年11月に「東京女性不動産」を開業。 東京女性不動産は、安心してお部屋探しができることを第一に、相談から契約まですべて女性スタッフが担当。女性一人での東京のお部屋探しを、女性ならではの視点で親身にサポートしています。LINEでの相談もできます。安心して新生活を始められるように、ストーカー保険の提案やRefaプレゼントなどのサービスもあって、さすが女性にやさしい! 電子書籍「宅建の教科書」がKindleにて好評発売中。 文・市岡彩香 anan web、anan Beauty+を中心に執筆するフリーライター。これまでに取材した人数はタレントや経営者を含め500名以上。インタビューライター、フードライターとして活動中。 ©Rawpixel.com/Adobe
市岡彩香