大学生3人に感謝状 海難防止のデザイン制作で 奄美海上保安部
奄美海上保安部(大場伊佐大部長)は海難事故防止啓発用のオリジナルデザインを制作したとして23日、鹿児島大学2年生の上野凛さん(19)、鹿児島国際大学2年の伊藤みそらさん(同)、福岡医療短期大学2年の松下風音さん(同)=いずれも鹿児島県奄美市の県立大島高校出身=に感謝状を贈った。奄美海保は3人がデザインした啓発ポスターを200枚、クリアファイル、うちわを各千枚作成。同日は龍郷町の倉崎海岸で奄美海保職員と大学生がグッズを観光客らに配った。 デザイン制作は昨年7月、上野さんが県立大島病院(奄美市名瀬)の救急科医師から島内の海難事故状況を聞き、自分たちにも何かできないかと考えたのがきっかけ。観光客の事故が多いことから、観光関係の民間企業へ啓発パンフレット作成などを打診する中で、奄美海保を紹介された。 デザインは、「守る」がテーマ。奄美の海をイメージした青色をベースに、クジラや魚などが描かれているほか、「海には2人以上で」「ライフジャケットを身に着ける」「海のもしもは118番」などの標語が記載されている。 奄美市名瀬出身の3人は幼稚園からの幼なじみ。グッズの全体デザインは伊藤さんが担当し、標語は元大島高校書道部の上野さんがしたため、使用されている写真は松下さんが高校在学中に撮影した。 3人は「藍染めの青や奄美の深い海の色をイメージした。全体的に統一感を出して、目につきやすさを意識。命を守る意識が高まればうれしい」(伊藤さん)「楽しい気持ちで来島した観光客に、安全に海遊びをしてもらえるよう思いを込めた」(上野さん)「観光で来た方には、海の危険な部分も知ってほしい」(松下さん)などと制作のこだわりを語った。
23日、奄美海保で感謝状の贈呈式があり、大場奄美海保部長は「3人の企画力と行動力に感心した。デザインもメッセージ性が強く、海で遊ぶ方々の心に響き、海難事故防止につながっていくと思う」と期待した。 同日、倉崎海岸でグッズを受け取った山本健史さん(46)は、家族3人で京都から来島。「海の危険は頭では理解しているつもりでも、改めて視覚から情報が入ると身が引き締まる。子どもから目を離さないようにしたい」と話した。 奄美海保によると、今年の奄美群島のマリンレジャーに伴う事故者は今月17日までに9人(前年同時期比3人増)。死者・行方不明者は3人(同増減なし)だった。事故者のうち群島外観光客は3人。