嗅いで触って耳を傾けて…五感で感じる「オオサンショウウオ展」、京都水族館で開催中
去る9月9日、年に一度の「オオサンショウウオの日」を大盛況のうちに終えた「京都水族館」(京都市下京区)。恒例のカウントダウンは来年に向けてリセットされ、すっかり日常を取り戻したかと思いきや『もっと体感!オオサンショウウオ展』が引き続き開催されている。 【写真】あの手この手のかわいい姿で…来館者を誘う!? ■ ご利益ありそう? 天然記念物にタッチ体験 「五感でオオサンショウウオを知り尽くす体験型企画展」と銘打つとおり、触れる、嗅ぐ、覗く、聴く、食べるの5つをテーマにした展示が、オオサンショウウオたちが棲む「京の川エリア」に登場。 日本の自然のなかにだけ存在する在来種の頭のイボや前あしの感触を再現したという「触れて発見」では、生身に触ると文化財保護法違反になってしまう天然記念物の触り心地を体験できる。「パァ」と開き、ハイタッチを誘うように向けられた手のひら(?)は設置から数日で年季を感じる姿に。もぎゅっと握手したり、さすったりする人の姿が多くみられた。 その隣で無防備そうに口を開けて待ち構えるのは「嗅いで発見」の特製ボックス。かたわらのボタンを押すと、チュウゴクオオサンショウウオとの交雑種の幼体の匂いが吹き出す仕掛けだ。山椒の匂いに似ていることからその名がついたとも言われるが、どんな匂いが吹き出すのか。老婆心ながらひとつだけ忠告しておきたいのは、あまり深く頭を突っ込みすぎないほうがいい、ということ。 ■ こんな角度からも!「オオサンショウウオの生態」を知る このほか、普段は展示していない骨格標本を虫眼鏡でじっくり観察することができる「覗いて発見」や、かつて食用とされていた時代を知る古老の話をまとめたパネル展示「食べて発見」、息継ぎの時に発する音を映像とともに楽しめる「聴いて発見」と、オオサンショウウオの生態をさまざまな角度から浴びることができる展示がならぶ。 そしてぜひとも見てほしいのが、展示を見た人が感想や自分なりの発見を自由に書いたメモを残すことができる掲示板だ。「どんなところでそう感じたんだろう?」と新たな気づきのヒントが詰まっていて、なかなか見応えがある。 ちなみに筆者が見つけた心に残る発見は、「おおさかかんじょうせん」だ。密集する姿に、車両がたくさん連結された大阪環状線の面影を見たのだろうか?この伸びやかな発想を見て、すっかり頭が硬く凝り固まっていたなとハッとした。自分とは違った視点に出合うことで、展示をより楽しめる趣の深さがあった。 『もっと体感!オオサンショウウオ展』は11月29日まで開催。観覧には水族館への入館が必要(入館料は大人2400円ほか)。 取材・文・撮影/脈 脈子