「不正の撲滅は無理」トヨタ会長の発言を越える! 5社型式不正問題から学ぶ、業界再建のステップとは
「業界衝撃」5社関与の認証不正問題
日本自動車工業会は2024年12月11日、5月までに型式指定申請に関連する不正行為が会員企業5社で発覚したことを受け、再発防止および未然防止に向けた新たな取り組みを発表した。 【画像】「なんとぉぉぉ!」 これが22年前の「豊田章男氏」です! 画像で見る 発表された取り組みは、 1.プロセス/マネジメント 2.組織体制 3.認証試験体制 4.人材教育 の4つの観点から方向性を示し、各会員企業はこれらを参考にし、学び合いながら実践に移す方針で進めていく。 2024年1月に明らかになったダイハツ工業をはじめとする認証不正問題は、日本の自動車業界に衝撃を与えた。特に、 ・トヨタ自動車 ・ホンダ ・マツダ ・スズキ ・ヤマハ発動機 の5社が関与していたことが判明し、業界全体に大きな影響を及ぼした。この問題は、単なる法令違反にとどまらず、企業の信頼性や社会的責任に対する問題提起へと発展し、業界全体で品質管理のあり方を見直す契機となった。 本稿では、メディアが強く非難し、早急な是正を求めた当時の状況を振り返り、特に非難を浴びたトヨタ自動車の豊田会長の発言を再検証。そのうえで、今後注視すべき課題について掘り下げていく。
トヨタグループ変革の試練
トヨタ自動車が開いた記者会見での豊田会長の発言や行動には、次のような点が浮かび上がる。 2024年1月30日のトヨタグループの新ビジョン発表会見で、豊田会長は一連の認証不正について「私の知っている限りでは(不正は)ない」と発言し、「自らが責任者としてトヨタグループ変革をリードする」と語った。しかし、その後半年も経たないうちに新たな不正が発覚し、豊田会長にとっては忸怩たる思いだったことが予想される。 さらに、会見で掲げた三つの公約のひとつ、「グループ17社の全ての株主総会に出席すること」という約束も実現しなかったことは残念である。2024年6月11日に豊田自動織機で株主総会が開催された後、トヨタグループ各社が順次開催する予定だったが、会長の公約を受けて開催日が調整され、重複しないよう配慮されたようだ。 それにも関わらず、豊田会長が出席しなかったのは、認証不正に関する質問を避けるためと推測される。この公約が実現しなかったことは問題であり、豊田会長が掲げた「自らが責任者としてトヨタグループ変革をリードする」という発言も疑問視され、世間に大きな影響を与える結果となった。また、豊田会長は 「不正の撲滅は無理」 「トヨタは完璧な会社ではない」 とも述べ、「認証制度がよく理解できていなかった」とも発言している。認証制度に対する理解不足は、自動車の生産や販売において基本中の基本であり、これを軽視する企業姿勢は批判を浴びることとなった。