FRBの利下げは5月との観測が強まる:逆方向の日米金融政策の観測が交差する異例の事態:日本銀行は2%物価目標の呪縛を解くべき
マイナス金利政策解除前に2%の物価目標の柔軟化を実施すべき
日本銀行はマイナス金利政策解除に踏み切る前に、2%の物価目標を長期的な緩い目標などに柔軟化しておくことが、こうしたリスクを回避するには必要だ。その場合には、春闘の結果を踏まえたうえで、市場との丁寧な対話を経て2%の物価目標の柔軟化を図り、マイナス金利政策解除に踏み切ることになるだろう。それには、一定の時間が必要となることから、マイナス金利政策解除の時期は、FRBの利下げが一巡したタイミングとなる。それは今年の10月など、年後半だろう。 足元の物価高騰は一時的な輸入物価の上昇の影響が大きく、賃金が相当に上昇しても、それがサービス価格に転嫁されることで2%程度の、過去のトレンドよりもかなり高めな物価上昇率の水準が維持される可能性は低い。 日本銀行は、将来の金融政策の自由度を確保する観点からも、マイナス金利政策解除に踏み切る前に、2%の物価目標の柔軟化を図り、長らく日本銀行の政策を強く縛ってきた、2%の物価目標の呪縛を解くべきだ。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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