40代夫婦が老後のことまで考えた「間取り」に潜む落とし穴
日本の住まいの満足度は33%……不満の理由は”間取り”でした。一見すると、おしゃれで素敵そうに見える間取り。でもそこには大きな落とし穴が隠れていることも。住んでみないとなかなか見えてこない隠れた暮らしにくさ。『この間取り、ここが問題です!』では、いままで3000件以上の間取りを診断してきた一級建築士・船渡 亮氏が、25の具体的な間取りからその問題点を指摘。より住みやすい間取りを提案します。 【画像付きでわかりやすく解説】子どもの成績を上げたいなら「間取り」でやってはいけないこと
開放的。ただし子供と朝、右往左往します
子供が小学生になる前に家を持ちたいと思っていた桐山さん夫婦は、土地を購入し大手ハウスメーカーで注文住宅を建てることにしました。北側に公園が見える北東の角地です。 計画では、老後のことも考えて、1階北側に水廻りを集中させ、リビングにベッドを置けばワンフロアで暮らしが完結できるようにしています。また南側隣地との距離が4mしかないため11月から1月までの日射取得ができないという問題を、中央に吹き抜けを設けることで解決しています。 東西に長い23帖のLDKと吹き抜け、スケルトン階段を組み合わせることで、日当たりもよく開放的な間取りになっていますね。2階の主寝室と子供室はどちらも南向きですし、吹き抜けと一体のホールからは、北側の公園が眺められます。 よく考えられているように見えますが、この間取りには4つの問題が潜んでいました。 <依頼人の家族構成> ■ 夫:会社員(40 代)、妻:医療関係(40 代)、長男(5) ■ 家事分担:夫は洗濯・掃除、妻は料理・掃除 ■ 洗濯方法:室内干し、乾燥機 ■ 夫は 2Fの書斎でリモートでの仕事あり
歯磨きや朝の準備時に親のサポートが大変
1つ目は朝の出宅動線です。朝食後に歯を磨き2階のクローゼットで着替え、1階に下りて出宅となりますが、かなり長い動線となり子供のサポートを考えると面倒です。 2つ目は帰宅動線が脱衣室を通ることです。他の家族が利用中は使えないですね。 3つ目は、リビング経由の帰宅動線。将来、寝室にする予定なのでこちらもNGです。 4つ目は、ダイニングの狭さです。面積だけなら階段を除き6帖ありますが、北側に動線(70)があるためダイニングテーブルと椅子を置ける幅は190しかありません。また食事中に家族でテレビを見ることができません。子供の勉強道具も置けないですね。 改善提案では、脱衣室東側に2帖のWICを配置しました。これで洗濯や朝の身支度は1階で完結します。階段も北側に移動しダイニングに余裕ができました。 小学生までは、リビングでの勉強が多くなりますが、そこで必要となるのが教科書やランドセル等の収納スペースです。そのため南側に勉強道具の収納スペースを確保しました。 勉強が終わったら広げた勉強道具を近くの収納にしまいやすいので散らかることへのイライラも減ります。リビングは西側に移動して主要な動線から外すことで、将来、寝室として転用しやすくなります。全体的に、家事効率を重視し、子供をサポートしやすい間取りになりました。
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