カープ大拙攻 先発全員10安打も2戦連続零敗 希望の光はプロ初三塁打の田村「だいぶ戻ってきたかな」
「広島0-4中日」(6日、マツダスタジアム) 広島が大拙攻で2戦連続完封負けを喫した。先発野手全員安打となる10安打を記録しながら本塁が遠かった。2戦連続完封負けは昨年の開幕1、2戦目以来の屈辱となった中、高卒3年目の田村俊介外野手(20)がプロ初の三塁打をマーク。自身3試合連続安打と状態を上げてきた。八回の絶好機では凡退して悔しさも味わった若武者は、がむしゃらに前だけを見て、一戦一戦歩みを進めていく。 【写真】最後まで見せた執念 1塁へ田中がヘッスラ 無念のアウト 捉えた打球は曇天を切り裂くように右中間へと舞い上がった。田村が七回先頭で迎えた3打席目でプロ入り後初の三塁打。涌井が投じた初球の直球をたたき、「真っすぐをしっかりはじき返せた。そこは良かったと思います」と汗を拭った。チームは2戦連続で完封負け。もどかしさが募る連敗の中で、期待のホープが希望の光となった。 自身3試合連続安打と打撃が上向き始めている。開幕から13打席無安打の苦しみを経験した後、2日・ヤクルト戦で今季初安打。前日の5日・中日戦では二塁打を含むマルチ安打を記録していた。「だいぶオープン戦の最初の時くらいに戻ってきたかなと思います」。快打を連発していたオープン戦序盤の自身と比較し、V字回復の兆しを感じ取る。 それだけに悔しさが残るのは0-4で迎えた2死満塁での4打席目だ。一発が出れば同点の場面で清水が投じた外角低めに落ちていくフォークに手を出して左飛に倒れた。「真っすぐは来ないと思いながら、打席には入ってました。フォークを拾いきれなかったというか、ヒットにできなかった」。悔しそうに唇をかみしめ、「また練習したいなと思います」とマメだらけの手を見つめた。 田村のみならず、チーム全体でこの日は悔しさにまみれた。序盤から拙攻を重ね、八回まで毎回安打を放ちながらも完封負け。先発野手全員安打を記録しながらの零封負けは、球団では1971年8月11日・阪神戦(広島)以来、53年ぶりの珍しい敗戦となってしまった。 2戦連続完封負けという事実も重なり、“あと1本”が出ない歯がゆさに拍車がかかる。それでも新井監督は「もう少しだと思うね。みんな徐々にバットは振れてきている。ヒット自体は出ているので、もう少しだと思います」と結果にとらわれず、冷静に現状を見据えた。 田村も「もっともっと練習して、低めを見逃して、甘いところに自分から呼び寄せられるような打席を増やしたいと思います」と必死に前を向いた。成功も失敗も肥やしにして日々成長を続ける若武者。頼りになる打棒と若さゆえの勢いで、次はチームの連敗を止めてみせる。