「タイパ」重視の若手社員に「俺の背中を見て育て」はNG 働きやすいのに退職率が高い会社の落とし穴
交流会は、就業時間内やノンアルでも参加しやすい“スマドリ”へ
日中の厳しい指導に対して、飲み会が潤滑油として機能していたのも過去の話です。今の若手はそもそも就業後に、上司とお酒を好んで飲むという人は少なくなりました。新型コロナ感染ウイルス感染症の影響もあり、夜遅くまで出歩く機会も減ったことも一因でしょう。何よりプライベートの時間を取られるのを嫌がる人も多くいます。
もし、食事会やそうした飲み会に代わる交流会を開くのであれば、子どもがいる人なども参加しやすいように早めの時間帯で行って早く終わらせる、というのもいいかもしれません。 会社に許可をもらって、飲み会の代わりとして就業時間最後の1時間程度をそうしたものに数カ月に一度でも費やしてみるというのもいいかもしれません。 そして、今はアルコールが飲めても飲めなくても、それぞれのドリンクを安心して選んで誰もが楽しめる飲み方として、「スマドリ=スマートドリンキング」というのもあるそうです。 若手や女性の中でも、「アルコールは苦手」という方は少なくありません。有無をいわせず「まずビールでいいな」ではなく、自分で飲みたいものを選べばいいのです。 スマドリは、アサヒビールが推進し、実際に渋谷に「スマドリバー渋谷」というノンアルコールもカクテルのようにして楽しめるバーをオープンしています。 誰もが気兼ねなく参加しやすい時間帯や雰囲気を選びたいですね。
私は最近、アルコールダイバーシティを心掛けており、あえて最初はビールを注文しないことにしています。 最初から赤ワインやお店によってはカクテルということもあります。周囲から「え、意外!」と言われますが、そういうところから多様性を進めていきたいと思っています。
不満や悩みも就業時間の中で解決し、若手からの提案も「会社のことを考えてくれている」と思って耳を傾けましょう。せっかく提案してくれたのなら、否定せずに一部でも取り上げていければ、きっと自分が仕事に貢献をしている意識を強くしてくれるのではないでしょうか。 「有無をいわせない組織」は不満が残りがちです。 変わるべきは上司のほうだと考え、まずはコミュニケーションスタイルから変えてみてはいかがでしょうか。 構成・編集:岩辺みどり 写真:鈴木愛子 図版作成:WATARIGRAPHIC デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)