「タイパ」重視の若手社員に「俺の背中を見て育て」はNG 働きやすいのに退職率が高い会社の落とし穴
私たちの頃は、入社して自分の希望の部署に入れないことも当たり前でしたし、“下積み”ということで商品陳列やら封書詰めやコピー取りなど、会社のメイン業務とは関係ない仕事を数多くこなしたものです。 先輩からは「とにかく手を動かせ」と叱咤激励が飛びます。サメのように動いていないと仕事をしていないと思われましたね(笑)。
そうした下積みに2、3年かかるのは当たり前で、それからやっと一人前の仕事が任されるようになったと思います。当時はそれが当たり前で上司や先輩を恨む、という感じはなかったですね。
早い挑戦・早い成長を望む若手に応える
しかし、もうそんな時代ではありません。 まだまだ下積み経験を重視する会社はあると思うのですが、「タイパ」を重視している若手は、「早い段階からこの会社で成長できるのか」を見ています。 「ここでは成長できない」と思えば、たとえ有名企業であっても、躊躇なく他へ転職してしまいます。 相談者さんの会社の制度が整っているにもかかわらず退職してしまうのは、若手が早くに成長できるような機会があまりないのかもしれません。 若手の昇進が遅い会社は、なおさらやる気がなくなりがちです。大企業では40歳以降に課長職に上がるケースも多くあり、今の若手には遅すぎると思われてしまうのです。 実例として、リクルートワークス研究所による調査でもそうした結果が出ています。
早い成長・挑戦を求める若い世代
また、何より大事なのは適材適所です。 それを若手のうちから徹底していく必要があります。 これまでであれば「A君はこういう仕事のセンスがあるから、あの部署にしたらいい」と一方的な推測や会社のニーズで決められていました。 しかし、今は入社前から部署の希望を聞いたり、できるだけ希望に沿った配属をしたりする会社が増えてきました。 それを「甘やかしている」という言葉で片付けるのではなく、「その人に合った仕事を与えられるのか」という視点で改めて見てください。 新人や若手であっても、1on1などをこまめに行い、きちんと本人のやりたいことや興味、提案に耳を傾け、表情などもよく観察します。