大阪市での「男性専用車両」イベント中止受け 主催団体代表が訴え 「いつか開催したい」
■大阪以外の路面電車で検討も
ジェンダー論の専門家からは、男性の痴漢は同性からが多いことなどを理由に、男性専用車両の必要性を疑問視する意見もある(後述)。藤倉氏は「確かに男性専用車両に対し、『あっても乗らない』『臭そう』といった否定的な意見もある。ただ、痴漢冤罪の被害は明らかに男性の方が多い。色々な観点から考えて、選択肢のひとつとして必要だ」と訴える。
また、今後のイベントについては、「都電で続けるか、札幌や広島、岡山など大阪以外の路面電車が走る地域で開催するか検討している」と説明する。
ただ、「男性専用車両の常設に向けて、東京に次ぐ都市である大阪は外せない地域」と強調。「今後も運行会社側と話し合いを続け、理解を得た上で、いつか大阪でイベントを開催したい」と前向きに語った。
■「誤乗した女性の危険もある」
東京大大学院の瀬地山角教授(ジェンダー論)の話
電車内での異性からの性被害や痴漢の冤罪被害の防止目的に男性専用車両の必要性を訴えるのならば、まずは男性の痴漢被害の認知件数や冤罪のデータを示すべきだ。恐らく、女性の痴漢被害に比べて男性の痴漢被害はものすごく少ないだろう。また、男性の痴漢被害は男性(同性)からも多いはずで、男性専用車両はその解決策にはならない。
男性専用車両を設けた場合、それに誤乗してしまった女性が被害を受ける危険性もあり、女性の痴漢被害の深刻さを理解しているとは思えない。また、過密なダイヤで列車を運行している鉄道会社としては、男性専用車両の導入は列車の遅延を招くという観点からも、是認しないと思われる。