<センバツ・ここに注目>選手紹介/9 変化球、巧みにさばく 下川辺隼人遊撃手(国学院久我山・2年)
尾崎直輝監督(31)が「苦しい時に一本出してくれる」と言うのもうなずける。昨秋の公式戦でチーム最多の12打点を稼ぎ、勢いをもたらす勝負強さを印象づけた。 182センチ、75キロの大型遊撃手。球際に強い守備力にも定評があるが、成長を感じるのは変化球のバットさばきだ。持ち前の長打力に加え打球を捉える確実性を兼ね備える。 東京大会準決勝の日大三戦で、一回に先制の左前2点適時打としたのは高めの変化球。甘くきたところにタイミングを合わせて捉え、強烈な打球で三遊間を破った。37年ぶりに秋の東京王者として臨んだ明治神宮大会の花巻東との1回戦でも二回に同点の左越えソロを放ったが、これも外角低めの変化球をうまくバットの芯で捉えた。「崩されずにタイミングがしっかりとれているので、バットのヘッドが走る」と感触もいい。 文武両道を掲げ、平日の練習は1日3時間程度で、専用グラウンドもない。「将来の選択肢が増える」と大学を見据えて入学。プロの世界に興味はあるが、自らの活躍に浮かれることなく冷静に足元を見つめる。尾崎監督も「ひたむきにやる力があり、地味なことでも繰り返し努力できる」。 昨夏は西東京大会決勝で敗退。あと一歩で届かなかった甲子園出場をすぐにかなえた。「選手には一人一人に役割があるのでそれを出したい」。攻撃に勢いをもたらすべく、まずは自らが聖地で体現する。【浅妻博之】=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ■人物略歴 ◇下川辺隼人(しもかわべ・はやと)さん 東京都出身。兄の影響で小学1年で野球を始めた。中学時代は小金井リトルシニアに所属。高校1年秋からレギュラーで試合に出場する。50メートルは6秒台前半、遠投は97メートル。右投げ右打ち。