地域密着型スーパー・平和堂「認知症サポーター」を取得したスタッフが1万人を突破!その取り組みは、家庭や地域に役立つと期待
企画マネージャーが語る認知症サポーター養成への想い
「日々、京田辺で働いて感じることは、ご高齢のお客様が多いということ。私自身の両親も高齢で、認知症を身近に感じる機会が増えていました」 アル・プラザ京田辺の企画マネージャー、八木佐智子さんはそう語る。店舗で働けば認知症ではなくても高齢の人と接する機会も多くなる一方、そのひとりひとりに合わせた応対は慣れない社員には難しいことも実感。そんな人の不安を少しでも取り払ってあげられたらもっと楽しく働けるのではと考えたという。 そこで交流のある包括センターの人に相談をしたところ、認知症サポーター養成講座を紹介され、京田辺で働く社員向けに養成講座を実施することとなった。さらに奮闘する八木さんの姿を見た包括センターの人にキャラバン・メイト(講師)の講習を紹介され、キャラバン・メイトの資格を取得。現在は月に2回程度、八木さん自身が講師として養成講座を行い、講座修了者は50%以上をキープしているそうだ。 「今後、お店で働く皆がたとえ平和堂を辞めたとしても、一度得た知識は生きる。これからのその人の人生で覚えたことがいかされていればいいですし、社会のなかで認知症に対する知識を持つ人が1人でも増えればいいなと思っています」
安心して買い物できる・働くことができる環境づくりのために
京田辺だけではなく全店で見ても、今までは認知症と思われる顧客にどう接してよいかわからなかった社員が、講座受講後は「もしかしたら認知症のかたかもしれない」と見守り、余裕をもって応対できるようになった。また、地域包括支援センター等とのネットワークができたことで、高齢者の応対に困った際に相談しやすくなり、実際に認知症当事者への支援に繋がった事例もあるという。 講座で学ぶ認知症の人への応対の基本は認知症に限らず全ての顧客に通じるもの。認知症への理解が進んだことは、あらゆる顧客への柔軟な応対にも繋がるようだ。 また、講座を受講した社員からは「家族が認知症なのでとても役に立った」「もっと早くに受講していたら、認知症の家族にもっと寄り添えたかもしれない」などの声が多く挙がったとのこと。認知症サポーターの養成は職場だけではなく、家庭・地域で役立つ学びになっていると言えるだろう。 平和堂が挙げる今後の課題は大きく2つ。「認知症サポーターとして学んだ基礎をいかに定着・活用していくか」「高齢化に伴う社員自身の認知症発症の可能性や、介護しながら働く社員、認知症になった社員が働き続けることができる接し方や環境の整備」だ。そのために認知症への対応を実践できる社員をひとりでも多く増やしていくため、今年5月には社内キャラバン・メイト(講師)を養成する取り組みを開始した。 このような認知症サポーター養成の取り組みがより普及して行けば、多くの人が住み慣れた地域で安心して自分らしい生活を続けることができるだろう。今後の取り組みにも期待していきたいところだ。 【データ】 平和堂 https://www.heiwado.jp/ ※平和堂の発表したプレスリリース(2024年9月3日)を元に記事を作成。 図表/株式会社平和堂提供 構成・文/秋山莉菜