おにぎりを220g→180gに小さくして… 長引くコメの品薄が生活困窮者の支援に影響「十分に渡すことできない」
コメの品薄が続く中、長野県内で生活困窮者の支援に携わる団体の活動に影響が出ている。企業や団体、個人からのコメの寄付が滞っており、支援団体は困窮者に提供するおにぎりを小さくするなど対応に苦慮。子ども食堂の運営などにもコメ不足が影を落としており、支援団体の関係者はコメの寄付を広く呼びかけている。 【写真】提供しているお弁当
13日朝、長野市西鶴賀の生活困窮者の居場所「里庵(りあん)みんなの家」。運営する反貧困ネット長野(長野市)のメンバーが弁当作りに追われていた。2カ月ほど前から弁当を受け取りに来る市内の男性(75)はアパートに1人で暮らし、わずかな年金でやりくりしている。「温かい食事をいただけると寂しさが和らぎほっとする」と大切そうに持ち帰った。
里庵みんなの家は平日には毎日開設され、総菜とおにぎりのセットの弁当を1食50円で10人前後に提供している。ただ、コメの品薄感が出て寄付が滞りがちになった春ごろからは、おにぎりを一つ220グラムから180グラムにした。
配布するコメ 1人2㎏→1.5㎏に減らして対応
反貧困ネット長野などの実行委員会は市内で夏と冬に、食料などを配る「長野きずな村」も開く。7月のきずな村でもコメが不足。メンバー有志が自腹で購入したが不足分を補いきれず、これまで1人2キロだった配布分を1・5キロに減らし、配布人数は20人ほど少ない約230人だった。
寄付を続ける県農民連(千曲市)によると、能登半島地震の被災地に贈った影響もあってコメが不足。事務局の庄田正美さん(74)は12月のきずな村でも届けたいと考えるが、経営が苦しい農家に新米を寄付する余裕があるかは見通せないとする。「国で不足分を支えることも考えてほしい」と訴えている。
反貧困ネット長野事務局長の大西英之さん(48)によると、里庵みんなの家やきずな村は年金が少ない高齢者や、若い親子連れが生活の頼りにしているといい、引き続き寄付を呼びかけている。
子ども食堂への影響も出ている。県内各地で子ども食堂を運営する「ホットライン信州」(松本市)は、コメ不足でメニュー変更を余儀なくされる食堂があるとする。現在、支援団体や協力農家から贈られたコメを各食堂の利用者に分配しているとし、「コメだけは切らさず支援を続けていきたい」としている。
困窮家庭を中心に食糧支援をしている「フードバンク信州」(長野市)副理事長の美谷島越子さんによると現在、倉庫には5キロ入りのコメが数袋しか残っていない。「子ども食堂の運営団体などに十分に渡せるものがない。新米が出回り始め、改善に向かえばいいけれど…」と話した。