APEC首脳会議が閉幕 「多国間協力が一段と重要」と首脳宣言 保護貿易に反対
【サンパウロ=平田雄介】日本や米国、中国など21カ国・地域でつくるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は16日(日本時間17日)、「効果的な多国間協力が一段と重要だ」とする首脳宣言を採択し、閉幕した。首脳会議は南米ペルーの首都リマで2日間の日程で行われた。来年1月に就任するトランプ次期米大統領が「米国第一」を掲げて唱える関税引き上げを警戒し、連携して保護貿易に反対していく姿勢を示した。 石破茂首相は16日の討議で、アジア太平洋地域の包摂的な成長実現のため、デジタル・AI(人工知能)の活用に向けた国際ルールの策定▽各国・地域の事情に応じた多様で現実的な道筋によるエネルギー移行▽食品ロス・廃棄の削減推進-を重視すると演説した。 首相は、ロシアのウクライナ侵略や北朝鮮とロシアの軍事協力、中東情勢の緊迫化と危機的な人道状況への懸念も表明。これらの問題については、世界経済に影響するとして議論を求める声が出た一方、反対した国もあった。 議長国ペルーのボルアルテ大統領は全会一致の原則に従うとし、こうした意見の隔たりを議長声明に記すにとどめた。昨年の議長国だった米国はロシアのウクライナ侵略を議長声明で非難していた。 2日間の日程中、中国の習近平国家主席は「アジア太平洋の協力は単独主義や保護主義の台頭といった試練に直面している」などと表明。対中関税を60%に引き上げると主張するトランプ氏を牽制(けんせい)し、自らを〝自由貿易の守護者〟と演出した。 首脳宣言は、紛争処理機能が停止している世界貿易機関(WTO)の改革やサプライチェーン(供給網)強化に向けた努力も確認した。来年のAPEC首脳会議は韓国で開催される。