「西武1位は“まさか”の野手ではなく…?」「中日2位は“颯爽と現れた”地元の高卒スラッガー」ドラフト全指名予想《西武・中日・オリ編》
「貧打解消」に有力な大卒外野手を確保
渡部聖弥(外野手・大阪商業大)は「繰り上げ1位」で消える。それが各球団の見方だったから、2位で獲れたのは金丸獲得と同程度の「大収穫」だ。 ご存じの通りの貧打線に泣いた今季のライオンズ。そこに、アマチュア球界トップクラスの渡部が獲れた。忘れられない昨年6月の全日本大学選手権。東京ドームの右中間中段に、右打席からライナー性で持っていった一撃。以降、注目される者に付きものの雑念なのか、「打ちたい、打たなきゃ」の気負いにバッティングを崩した時期もあったが、その本質は、横浜DeNA・牧秀悟の「軸のブレない高精度スイング」だ。 センターですぐ使える守備力。特に機敏で正確なスローイング能力は、西武外野陣で随一になろう。 3巡目のラストに齋藤大翔(遊撃手・金沢高)が残っていたのは奇跡に近かった。同じように上位で「遊撃手」を狙っていると見ていた阪神やソフトバンクが怖かった。名手・源田壮亮とは14歳差、高校からだからといって、そうノンビリもしていられない。 「師匠」とは対照的に、アクションスピードと強肩が持ち味のプレースタイル。昨年までは一か八かが目立ったフィールディングだったが、同校・武部佳太監督が内野手としての基本技を執拗に刷り込んで、今春以降、みるみる精度が上がった。タイミングが合った時の長打力と50m5秒台の快足。2位指名・渡部聖弥との韋駄天1、2番コンビ結成なんてことになれば、西武も再び優勝戦線返り咲きだ。 近未来の長距離砲を……と人選していたら、行き着いたのが金沢の大学生。3位、4位で「金沢」が並んだのはたまたまの偶然。井上幹太(外野手・金沢学院大)だ。 高々と打ち上げて、雄大な放物線で右中間からライトスタンドへ放り込む典型的なロングヒッターの軌道。神村学園高3年夏、コロナで「甲子園」が2つなくなって、プロ志望高校球児がプロ球界にアピールする機会として「合同練習会」なるものが行われ、参加した井上選手が甲子園球場上空に描いた何本もの「レインボーアーチ」。北陸大学リーグの打者のタイトルを、4年間でほぼ総ナメにして、「西武4位」を獲得した。 早いもので、右のエース・今井達也も来年は9年目の27歳。もちろん、老け込む歳じゃないが、後釜に小川哲平(投手・作新学院高)を5位指名だ。 日光の中学当時からスーパー中学生として注目されて、圧倒的球威の速球投手の先代とは持ち味異なる多彩な変化球の緩急勝負。馬力とスタミナは先代譲りだ。 投手陣に慕われたベテランマスク・岡田雅利が引退して、もともと手薄だった捕手が量・質ともに、さらに手薄になって、6位・譽田貴之(捕手・福岡工業大)と、ほんとはもう1人指名したかったところが、直後に、ヨソにさらわれてしまった。 福岡工大城東高当時は4位・井上外野手と同じ「合同練習会」組で、左翼方向への強打と下半身の弾力の利いたスローイングが光っていた。今春リーグ戦で打率.457、5本塁打と打が一気に上昇。井上選手と同様、4年越しの待望のドラフト指名になった。
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