全国棚田サミット、開催地に浜松 26年度 政令市で初
全国の棚田の関係者が一堂に会し、保全に向けた課題や先進事例などを共有する「全国棚田(千枚田)サミット」(全国棚田連絡協議会主催)の2026年度の開催地が浜松市に決定したことが9日までに、同協議会への取材で分かった。県内での開催は10年の松崎町以来2回目で、政令市では全国初となる。 棚田は山の斜面や谷間に階段状に作られた水田で、市内では久留女木(浜名区)、白橿(同)、大栗安(天竜区)の3地域の棚田が農林水産省の「つなぐ棚田遺産」に認定されている。市は市議会9月定例会で、地域の財産である棚田の魅力や保全活動を発信するため、サミットの誘致を目指す方針を示していた。 サミットは、同協議会が発足した1995年から、棚田を持つ市町村で毎年開いている。棚田を視察して保全や活用に向けた取り組みを報告し合い、棚田の持つ文化的価値や多面的機能などについて意見交換する。同協議会によると、10月に長野県上田市で開かれた本年度のサミットに合わせて行われた総会で、26年度の開催地を浜松市とする案が正式決定された。 久留女木の棚田の保全に取り組む久留女木竜宮小僧の会は、一般的なオーナー制度を導入せず、稲作の手順動画や教科書を制作するなど、地域外の耕作者育成に力を注いでいる。同会事務局の鈴木一記さんは「外部の耕作者を育てる取り組みは例が少ない。小規模な棚田でも社会とつながり、保全できることを示したい」と意気込みを語った。 25年度のサミットは、大分県別府市で開かれる。
静岡新聞社