高校野球「7イニング制」検討スタート!変わりゆく時代と環境から球児を守るには?
海外は?他の競技は?
海外の高校野球では、米国、カナダ、韓国、そして台湾などが、すでに「7イニング制」を導入している。また、野球以外のスポーツでも、サッカーは、Jリーグや国際試合は45分ハーフだが、高校全国大会は準々決勝まで40分ハーフで行われる。夏に開催される全国高校総体では、さらに短い35分ハーフ。ラグビーもリーグワンなどの試合は40分ハーフだが、高校の全国大会は10分短い30分ハーフで行われている。"選手が高校生"という状況を考えての配慮である。
戦い方も変わっていく
長い歴史の中、「9イニング制」で戦ってきた高校野球。試合が2イニング短くなるということは、戦い方にも大きな影響が出る。「7イニング制」の検討が始まったことについて、高校野球の現場でも、賛否両論が巻き起こっている。そこに共通するのは、戸惑いである。先取点を取った方が有利なのか、選手交代のタイミングはどうするか、勝負をかけるイニングをどこにおくか、様々な課題が生まれる。また、過去の大会記録との比較も、これからは単純には比べにくくなるだろう。条件が違ってくるからである。
年内には方向性が出る?
高野連では、ワーキンググループをさらに開催して検討を進め、12月の理事会でその内容を報告するとしている。「球児たちの健康を守る」というメリットに比べ、「戸惑い」とか「戦い方の変化」とかデメリットとされそうなものは、多くが抽象的な面であることは否めない。おそらく「7イニング制」導入は、前へ進みそうな可能性が強い。 甲子園球場も、今後、内野席を覆う屋根(銀傘)を、応援団が陣取るアルプス席の7割まで覆うようにする。これも猛暑などへの対策である。ここ数年の地球環境の著しい変化は、そんなハード面や、さらに長い歴史のルールまで変更せざるを得ない時代の波を運んできている。 【東西南北論説風(515) by CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
CBCテレビ