WEC、2024年開幕戦『カタール1812km』のエントリーリストを発表。14メーカー計37台が出走へ
2月13日、WEC世界耐久選手権は約2週間後の今月29日(木)から3月2日(土)にかけて、カタールで開催される2024年シーズン開幕戦『カタール1812km』の暫定エントリーリストを公開した。クラス再編により2クラスでの戦いとなる新シーズンのオープニングイベントでは、ハイパーカー19台とLMGT3カー18台、合計37台の出場が予定されている。 【写真】2024年シーズンにデビューする新型マシンのひとつ、アルピーヌA424 参加メーカーは全部で14。トヨタ、フェラーリ、プジョー、ポルシェ、キャデラック、シボレー、アストンマーティンといった以前からシリーズにコミットしているメーカーに、アルピーヌ、BMW、マクラーレン、フォード、イソッタ・フラスキーニ、ランボルギーニ、レクサスという復帰組を含む7社が加わった。この数字はハイパーカーによるシリーズの成長を示すものであると同時に、より豊富な車種を揃えるGT3車両の採用も要因のひとつだ。 第1戦カタールから最終戦バーレーンまでの全8戦で争われる今季2024年のWECには既報のとおり、MotoGPで7度世界チャンピオンに輝いたバレンティーノ・ロッシや、2009年のF1ワールドチャンピオンであるジェンソン・バトンなど、モータースポーツ界のビッグネームがフル参戦する。当然、彼らはロサイル・インターナショナル・サーキットで行われる開幕戦のエントリーリストにも名を連ねており、シリーズに復帰するバトンは『ポルシェ963』を走らせるプライベーター、ハーツ・チーム・JOTAからハイパーカークラスに初参戦する。一方のロッシはチームWRTの『BMW M4 GT3』とともに、シリーズデビューを果たす予定だ。 WECの最高峰カテゴリーであるハイパーカークラスにデビューするブランドは、ランボルギーニ、BMW、アルピーヌ、イソッタ・フラスキーニの4社だ。この中で唯一のLMH(ル・マン・ハイパーカー)規定車両である『イソッタ・フラスキーニ・ティーポ6 LMHコンペティツィオーネ』と、LMDh規定マシンの『ランボルギーニSC63』『アルピーヌA424』の3台はカタール1812kmがデビューレースとなる。一方、BMWのLMDhカー『MハイブリッドV8』はWECには未参戦だが、すでに北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で最初のシーズンを戦っている。 既存のハイパーカーメーカーでは一部チームでドライバーラインアップの変更があり、トヨタ・ガズー・レーシングはホセ-マリア・ロペスに代えて元フォーミュラEチャンピオンのニック・デ・フリースを7号車トヨタGR010ハイブリッドのドライバーに起用。ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、3度のIMSAチャンピオンであるデーン・キャメロンを北米シリーズに派遣し、これによって空いた5号車ポルシェ963のシートにIMSAからマット・キャンベルを迎えた。 シーズン中に改良型マシンの登場が期待されるプジョー・トタルエナジーズもラインアップを変更した。元F1ドライバーのストフェル・バンドーンを起用するとともに、ニコ・ミューラーとポール・ディ・レスタの担当号車が入れ替わった。キャデラック・レーシングは3人目のドライバーが流動的になる見込みで、開幕戦ではセバスチャン・ブルデーが、レギュラードライバーのアレックス・リンとアール・バンバーのコンビに加わることになっている。 2023年のル・マン24時間レースウイナーであるフェラーリAFコルセは、50号車と51号車ともに不動のラインアップでハイパーカー2年目に挑むが、“跳ね馬”はワークス部隊とは別の『フェラーリ499P』をプライベーターマシンとして走らせる。 AFコルセがオペレーションを担う3台目の499Pには既報のとおり、ロバート・クビサ、イーフェイ・イェ、ロバート・シュワルツマンが乗り込む予定だ。この83号車はプロトン・コンペティションの99号車ポルシェ963や、プログラムを拡大して今季は2台体制となるハーツ・チーム・JOTAとチームタイトルを争うことになる。 ■日本人ドライバーは5名 まったく新しいWECのGTカテゴリーとしてデビューするLMGT3クラスの初年度は、9つのGT3メーカーから各社2台、合計18台のマシンがエントリーしている。昨シーズン限りで終焉を迎えたLM-GTEアマの後継クラスである同部門は、ブロンズドライバー、シルバードライバー、ゴールドまたはプラチナドライバーという異なるレーティングの選手たちが1台のクルマをシェアするプロ・アマカテゴリーだ。 GTEアマと決定的に異なるのは使用する車両で、世界中のGTレースで活用されているFIA GT3カーが初めてWEC/ル・マン24時間レースの競技車両として採用されている。これによりGTE規定車両を持っていないなかったランボルギーニやマクラーレン、レクサスなどがシリーズに参加することが可能となり、車種のラインアップが倍増した。 ドライバーも前述のロッシなど、プロを中心に名の知れた“GT使い”たちが名を連ねる。アウグスト・ファーフス(チームWRT)、ダビデ・リゴン(ビスタAFコルセ)、ケルビン・ファン・デル・リンデ(アコーディスASPチーム)、ダニエル・ジュンカデラ(TFスポーツ)、マルコ・ソーレンセン(Dステーション・レーシング)はその代表格と言えるだろう。 同クラスには日本人ドライバーも参戦予定で、小泉洋史がTFスポーツの82号車コルベットから、木村武史はアコーディスASPの87号車レクサス、佐藤万璃音が95号車ユナイテッド・オートスポーツのマクラーレンをドライブする予定だ。 日本チームとしては、ハイパーカークラスのトヨタに加え、新型バンテージGT3を走らせるDステーション・レーシングがアストンマーチンを代表する2チームのうちのひとつとして、引き続きシリーズにコミットしている。 ハイパーカーとLMGT3の2クラスから37台が出走する2024年WEC第1戦カタールは3月2日(土)に決勝が行われるが、その1週間前の2月24~25日には開幕戦の舞台であるカタールで公式テスト“プロローグ”が行われる。 ■2024年WEC世界耐久選手権第1戦カタール1812km 暫定エントリーリスト(2月13日時点) Pos./No./Class/Team/Car/Driver/Tyre 1/2 /HYPERCAR/キャデラック・レーシング/キャデラックVシリーズ.R/E.バンバーA.リンS.ブルデー/MI 2/5 /HYPERCAR/ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ポルシェ963/M.キャンベルM.クリステンセンF.マコウィッキ/MI 3/6 /HYPERCAR/ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/ポルシェ963/K.エストーレA.ロッテラーL.ファントール/MI 4/7 /HYPERCAR/トヨタ・ガズー・レーシング/トヨタGR010ハイブリッド/M.コンウェイ小林可夢偉N.デ・フリース/MI 5/8 /HYPERCAR/トヨタ・ガズー・レーシング/トヨタGR010ハイブリッド/S.ブエミB.ハートレー平川亮/MI 6/11 /HYPERCAR/イソッタ・フラスキーニ/イソッタ・フラスキーニ・ティーポ6-C/A.セラバッレC.W.ベネットJ-K.ベルネイ/MI 7/12 /HYPERCAR/ハーツ・チーム・JOTA/ポルシェ963/W.スティーブンスC.アイロットN.ナト/MI 8/15 /HYPERCAR/BMW MチームWRT/BMW MハイブリッドV8/D.ファントールR.マルチェッロM.ウィットマン/MI 9/20 /HYPERCAR/BMW MチームWRT/BMW MハイブリッドV8/S.ファン・デル・リンデR.フラインスR.ラスト/MI 10/35 /HYPERCAR/アルピーヌ・エンデュランス・チーム/アルピーヌA424/P-L.シャタンF.ハプスブルクC.ミレッシ/MI 11/36 /HYPERCAR/アルピーヌ・エンデュランス・チーム/アルピーヌA424/N.ラピエールM.シューマッハーM.バキシビエール/MI 12/38 /HYPERCAR/ハーツ・チーム・JOTA/ポルシェ963/J.バトンP.ハンソンO.ラスムッセン/MI 13/50 /HYPERCAR/フェラーリAFコルセ/フェラーリ499P/A.フォコM.モリーナN.ニールセン/MI 14/51 /HYPERCAR/フェラーリAFコルセ/フェラーリ499P/A.ピエール・グイディJ.カラドA.ジョビナッツィ/MI 15/63 /HYPERCAR/ランボルギーニ・アイアン・リンクス/ランボルギーニSC63/M.ボルトロッティE.モルタラD.クビアト/MI 16/83 /HYPERCAR/AFコルセ/フェラーリ499P/R.クビサR.シュワルツマンY.イェ/MI 17/93 /HYPERCAR/プジョー・トタルエナジーズ/プジョー9X8/M.イェンセンN.ミューラーJ-E.ベルニュ/MI 18/94 /HYPERCAR/プジョー・トタルエナジーズ/プジョー9X8/P.ディ・レスタL.デュバルS.バンドーン/MI 19/99 /HYPERCAR/プロトン・コンペティション/ポルシェ963/H.ティンクネルN.ジャニJ.アンドラウアー/MI 20/27 /LMGT3/ハート・オブ・レーシングチーム/アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3/I.ジェームズD.マンチネッリA.リベラス/GY 21/31 /LMGT3/チームWRT/BMW M4 LMGT3/D.レオンS.ゲラエルA.ファーフス/GY 22/46 /LMGT3/チームWRT/BMW M4 LMGT3/A.アル・ハーティV.ロッシM.マルタン/GY 23/54 /LMGT3/ビスタAFコルセ/フェラーリ296 LMGT3/T.フローF.カステラッチD.リゴン/GY 24/55 /LMGT3/ビスタAFコルセ/フェラーリ296 LMGT3/F.エリオS.マンA.ロベラ/GY 25/59 /LMGT3/ユナイテッド・オートスポーツ/マクラーレン720S LMGT3エボ/J.コッティンガムN.コスタG.ソーシー/GY 26/60 /LMGT3/アイアン・リンクス/ランボルギーニ・ウラカンLMGT3エボ2/C.スキアボーニM.クレッソーニF.ペレラ/GY 27/77 /LMGT3/プロトン・コンペティション/フォードGT LMGT3/R.ハードウィックZ.ロビションB.バーカー/GY 28/78 /LMGT3/アコーディスASPチーム/レクサスRC F LMGT3/A.ロバンT.ボグスラフスキーK.ファン・デル・リンデ/GY 29/81 /LMGT3/TFスポーツ/シボレー・コルベットZ06 LMGT3.R/T.ファン・ロンパウR.アンドラーデC.イーストウッド/GY 30/82 /LMGT3/TFスポーツ/シボレー・コルベットZ06 LMGT3.R/小泉洋史S.バウドD.ジュンカデラ/GY 31/85 /LMGT3/アイアン・デイムス/ランボルギーニ・ウラカンLMGT3エボ2/S.ボビーD.パンM.ガッティン/GY 32/87 /LMGT3/アコーディスASPチーム/レクサスRC F LMGT3/木村武史E.マッソンJ-M.ロペス/GY 33/88 /LMGT3/プロトン・コンペティション/フォードGT LMGT3/G.ローダM.ペデルセンD.オルセン/GY 34/91 /LMGT3/マンタイEMA/ポルシェ911 GT3 R LMGT3/Y.シャヒンM.シューリングR.リエツ/GY 35/92 /LMGT3/マンタイ・ピュアレクシング/ポルシェ911 GT3 R LMGT3/A.マリキンJ.シュトームK.バハラー/GY 36/95 /LMGT3/ユナイテッド・オートスポーツ/マクラーレン720S LMGT3エボ/J.ケイギルN.ピノ佐藤万璃音/GY 37/777 /LMGT3/Dステーション・レーシング/アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3/C.マテウE.バスタードM.ソーレンセン/GY [オートスポーツweb 2024年02月13日]