日本ブランド初の「市街地ADAS」搭載したトヨタbZ3Xが予感させるEVの着地点
テック産業と自動車産業の融合はますます進む
2024年8月31日、トヨタは同日に開幕した中国・成都モーターショーに2025年第1四半期の生産開始を予定しているフル電動の新型SUV「bZ3X」を出展。市販にむけた予約開始が近いことを伺わせた。そして改めて注目しておきたいのは、中国の自動運転スタートアップ企業「Momenta」と共同開発した最新の市街地ADAS(先進運転支援システム)をトヨタ車として初めて搭載したところである。 【写真】「トヨタbZ3X」をもっと見る 「bZ3X」は、トヨタ自動車、広州汽車、広汽トヨタ(GAC Toyota)、そして中国におけるトヨタの電動化/知能化の開発拠点であるIEM by TOYOTAが共同開発したトヨタbZシリーズ第3弾だ。その量産仕様車は、2024年4月に開催された北京モーターショーで「bZ3C(BYDや一汽車トヨタと共同開発)」とともに初公開されている。 その後、6月28日に開催された広汽トヨタの技術説明会「インテリジェントテクノロジーアドバンスト」において、bZ3Xに搭載される高度運転支援システム(ADAS)が「TOYOTA PILOT」と名付けられた最先端の“NOA” (Navigation on AutopilotあるいはNavigation on ADAS)であることが初めて明かされている。 NOAはナビゲーションで目的地を設定すればシステムが運転/操縦を行い、ドライバーはいつでも運転に復帰できるように監視する運転支援システムだ。自動運転レベルでは、レベル2に相当するが、その様子は一般にイメージされる“自動運転”そのものだ。中国では高速道路NOAが急速に普及しつつあり、一部のプレミアムカーでは市街地にも対応したNOAが搭載されるようになっている。 「TOYOTA PILOT」では、LiDARを併用するが主体はカメラ映像であり高精度マップをリアルタイムで生成する最新のNOAだ。高速道路はもちろん市街地まで、運転操作を必要とせずにまるでドライバーが運転しているかのようにスムーズに走るという。 その開発は、トヨタも出資する自動運転スタートアップ企業「Momenta(モメンタ)」が主導している。NVIDIAの自動運転用SoC(Orin-x)をコアに、11台の超高精度カメラ、5台のミリ波レーダー、12台の超音波レーダー、1台の LiDARで構成されている。 さらに、今回はMomentaとの協業を前面に押し出してアピールしているが、インフォテインメントシステムにはHUAWEI(ファーウェイ)のテクノロジーも採用されていることは間違いない。つまり、MomentaのNOA技術とファーウェイの通信テクノロジーを、トヨタが重層的に統合した最新AIの集大成が「TOYOTA PILOT」なのだ。