バイデン大統領に生活費高騰の呪縛、有権者に好景気や株高は二の次
国民はこれを認識しており、それが経済への否定的な見方を後押ししている。クック・ポリティカル・リポートが激戦州7州で実施した世論調査によると、景気を測るのに最も重要なものとして株式相場を挙げた回答者はわずか6%、失業率の低さを挙げた回答者は13%に過ぎなかった。代わりに54%が生活費を挙げた。大統領を批判し、政権には物価を引き下げる力があったとの回答者は59%に上った。
政治家や中央銀行が最もコントロールしづらい価格がインフレを引き起こしているため、バイデン大統領に対処する方策はほとんどない。税金を使って補助金を出す以外、大統領が食料価格に対してできることは何もないのだ。最近の地政学的な動向が押し上げた原油相場については、バイデン氏は既に戦略石油備蓄(SPR)の放出という最も明白な手段を使った。
さらに皮肉なことに、食料品とエネルギー価格は上昇が止まっている。大統領が最もコントロールしにくく、有権者が大統領の仕事ぶりを評価する上で基準とする物価項目だ。一方で、サービスインフレは依然として高止まりしている。これはトランプ政権下で始まりバイデン政権下で継続した過剰な景気刺激策のほか、2022年まで2年間金利を事実上ゼロに据え置いた金融当局の決定など、政策の誤りによるものかもしれない。
しかし、それは経済を絶望的な状態に追いやるものではなく、これから選挙までの間に、それを緩和するようなことが起こるとは考えづらい。経済全体が好調なのは事実であり、最大の痛みはバイデン大統領の責任ではない。だが、バイデン政権下で生活費がずっと高くなったという事実に変わりはなく、多くの有権者はそのことで大統領を判断するだろう。
(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)
原題:Robust Economy Can’t Shield Biden From Blame for Higher Prices(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
John Authers