子どもの勉強「教えないほうが伸びる」納得の要因。教え上手な人・下手な人の差はどこなのか?
このとき、「彼はお腹が空いているに違いない」とすぐに答えを教えるのではなく、まず「mustってどういう意味?」と聞いてみるのです。 そこで生徒が「~しなければいけない」と答えたら、「~に違いない」の意味を覚えていないことがわかるので、テキストに戻ってmustの用法を確認するように指示します。 このように質問に対して質問で返すことからも、その生徒がどこまで理解していて何の知識が足りないのかがわかるのです。
さらに、この質問返しをすることでも、ムダな説明を省くことができます。先ほどの“He must be hungry.”の例で、生徒が“must”ではなく“hungry”の意味がわからなかったとしましょう。 ここで質問をせずに「この子はきっとmustの意味がわからなくて訳せないんだろう」と勝手に判断した場合、こちらがいくら一生懸命「must=~に違いない」だと説明しても、時間と労力のムダですよね。 生徒も「知りたいのはそこじゃないのに……」という気持ちで説明を聞かされて、集中力が下がってしまいます。このようなロスを避けるためにも、質問には質問で返すことが大切なのです。
また、「この単語って何て意味ですか?」のように、辞書やインターネットで調べたらわかるような質問をされることがあります。 この場合は答えを教える代わりに、調べ方を教えるほうがいいでしょう。知識ではなく調べ方そのものを教えることで、生徒が自分1人で勉強しているときに、疑問に思ったことを自力で調べられるようになります。 ■辞書の使い方も教えてあげる 最近は電子か紙かを問わず、辞書そのものを使ったことがないという子もいます。
辞書での調べ方も必要に応じて教えたほうがいいでしょう。毎回こちらが説明するよりも、自分の手で調べたほうが頭に残りやすくなりますし、自立心の向上にもつながります。 ここまで述べてきたように、こちらが教えれば教えるほど、生徒の理解や、自立からはかけ離れていきます。 生徒の成長を促すためにも、「教えない人こそ教え上手である」ということをぜひ意識してみてください。
青戸 一之 :東大卒講師・ドラゴン桜noteマガジン編集長