子どもの勉強「教えないほうが伸びる」納得の要因。教え上手な人・下手な人の差はどこなのか?
志望校合格者を次々と出す、プロの家庭教師。集団指導ではないため、どう合格に導いているのか、一般的にはあまり知られてはいません。しかし、そこには誰でも実践できる「教え方の極意」があります。『家庭教師の技術』を上梓した、15年を超える家庭教師・塾講師歴を持つ、青戸一之氏が極意をお話しします。 【写真】『家庭教師の技術』(青戸一之)(西岡壱誠)では、家庭教師の教え方の極意を紹介 ■教える人、教えない人どちらが伸びる? 勉強を教えるのが上手い人と下手な人の違いは、どこにあると思いますか?
教えるのが上手だと聞くと、「説明がわかりやすい」、「話が面白い」など、口達者な人だというイメージが浮かぶのではないでしょうか。 学校や塾の先生だと口達者でもよいと思いますが、マンツーマンで教えるとなると話は変わってきます。 家庭教師として、または親御さんがマンツーマンで勉強を教える場合は、口達者というよりも、「教えない人のほうが、教え上手」だと言えるのです。 「教えないほうがいい」と聞くと、なんとなく違和感を抱くかもしれません。生徒からすると、手取り足取り丁寧に教えてくれる先生のほうがいいように思うでしょう。
しかし、教えれば教えるほど、生徒の成長の機会を奪ってしまいます。なぜなら自分自身の頭で考えることができなくなるからです。 問題の解き方やミスした原因などを一から十まで教えてもらえれば、当然教えてもらう側は楽かもしれません。それでは自転車にずっと補助輪がついているようなもので、いつまで経っても自分1人で走れるようにはなりません。 教えてもらったその場ではわかったような気になっても、いざ1人で問題に向かってみると何も身についていなかった、ということになるのです。
もちろん、何も知識がない状態で「自分で考えろ」というのは無理な話です。最初はきちんと基礎から教えてあげる必要があります。 では、「教えすぎ」を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。ポイントは2つあります。生徒に話させることと、質問には質問で返すことです。 ■生徒に話させることで理解度を見る 例えば、社会(地理)の勉強で「日本は米の生産量が多い」という内容を説明するとします。 このとき、「日本は降水量が多く、稲作に適した温暖な気候で……」と、一方的にすべて話してしまうのはNGです。