ミレニアム敏腕トレーダー、59億円利益-エジプト通貨急落の賭け奏功
(ブルームバーグ): 世界最大級のヘッジファンド運営会社ミレニアム・マネジメントは、エジプトが通貨切り下げを決めた際に数千万ドルの利益を得たと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。あるシニアトレーダーの賭けが奏功したという。
関係者らによると、このトレーダーはドバイ在勤のナビーン・チョッパラ氏で、ミレニアムには昨年入社した。同氏は、エジプトが経済危機を食い止めるため通貨の切り下げを容認すると予想していたという。関係者らは、詳細は非公開だとして匿名を条件に語った。
エジプト中央銀行は6日、臨時会合で政策金利の600ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げを決め、為替レートの決定を市場の力に委ねる方針を示した。これを受け、通貨ポンドは38%急落。関係者の一部によれば、チョッパラ氏は約4000万ドル(約59億3000万円)の利益を得たという。
エジプト通貨が35%安、当局が切り下げ-600bp緊急利上げ後 (2)
以前勤めていたゴールドマン・サックス・グループでトップトレーダーの一人でもあったチョッパラ氏は今回、エジプト・ポンドへの賭けを行う上でノンデリバラブル・フォワード(NDF)と呼ばれるデリバティブを利用したと、関係者らは指摘。関係者の一部によれば、この取引では実施する上でコストも多くかかったとみられ、それがチョッパラ氏の最終的な利益を押し下げた可能性もあるという。
チョッパラ氏とミレニアムの広報担当はコメントを控えた。
NDFでは、事前に決めた取引価格と決済時の実勢価格との差額をドルなどで差金決済する。関係者らによればチョッパラ氏は、ポンドが切り下げられた際に大きく下落したポンドの新たなスポットレートと、NDFの契約で取り決められた価格との差額から利益を得たもようだ。
原題:Millennium Trader Scored $40 Million Windfall in Egypt FX Plunge(抜粋)
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Donal Griffin, Srinivasan Sivabalan