「水木しげる記念館」がリニューアルオープン。波瀾万丈な生涯を豊富な資料を織り交ぜながら紹介
鳥取・境港市の「水木しげる記念館」が、約1年の建て替え工事を経てリニューアルオープンした。 水木しげるは1922年、鳥取県境港市で育つ。太平洋戦争時、激戦地であるラバウルに出征、爆撃を受け左腕を失う。復員後、紙芝居作家を経て、貸本漫画家となる。妖怪たちを主役に据えた代表作『ゲゲゲの鬼太郎』によって妖怪ブームを起こし、さらに『河童の三平』『悪魔くん』『日本妖怪大全』などの作品も執筆。2015年11月30日没。 本記念館は『ゲゲゲの鬼太郎』等の代表作のみならず、その苛酷な戦争体験も含めて、水木の波瀾万丈な生涯を豊富な資料を織り交ぜながら紹介する。 常設展は6章構成。第1章「境港のしげる少年」では、幼少期のエピソードを自伝的漫画作品や映像で紹介。第2章「水木しげると戦争」では、水木の苛酷な戦争体験を豊富な資料によって紹介する。 第3章「そして漫画家に」は、戦後の生活と漫画家として成功するまでを、第4章「水木しげるが描いた妖怪たち」では薄暗い洞窟の中に約50体の妖怪が潜むインスタレーションを展開。 そして第5章「水木しげるの漫画ワールド」は『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』などの代表作が紹介され、第6章「水木しげるの言葉」は、「なまけ者になりなさい」といった名言が展示される。 また、企画展示室では貴重な原画を約半年ごとに内容を変えて展示する。こけら落としを飾るのは「鬼太郎の誕生―生まれかわる四つの物語―」だ。会期は10月20日まで。 本展は70年ほどの歴史がある代表作『鬼太郎』の歴史を紐解くもの。戦前に怪談「飴屋の幽霊」をモチーフにした紙芝居があり、これをヒントに水木しげるは1954年頃、『蛇人』という紙芝居作品で初めて鬼太郎を登場させた。その後紙芝居作家から漫画家に転向した水木は、1960年に貸本『妖奇伝』で初めて漫画「鬼太郎の誕生」を描いた。 「鬼太郎は、人類が地球上に生まれる前から住んでいた幽霊族の、最後の生き残り。埋葬された母親から生まれてきた。死んだ父親は鬼太郎を心配するあまり、目玉だけの姿になって鬼太郎を見守る」。このストーリーをベースに「鬼太郎の誕生」はその後3度、発表媒体を変えて描き直された。本展ではこれら4つの「鬼太郎の誕生」について紹介している。