虐待防止、社会的養護に力 茨城県「こども計画案」
茨城県は今月、全ての子どもと若者が幸福な生活を送るための方針や施策「県こども計画案」(2025~29年度)をまとめた。児童虐待防止や社会的養護が必要な子どもや若者への対策に力を入れ、妊娠から子育て期まで切れ目ない支援を目指す。パブリックコメント(意見公募)を経て25年3月に策定する。 計画策定は23年4月施行のこども基本法で努力義務とされている。子どもや若者関連の七つの県計画の後継となる新たな計画で、国のこども大綱で掲げる「こどもまんなか社会」の実現を基本目標とする。「幼児期まで」「青年期」といった年代別など六つに分類した。 虐待防止や社会的養護では、児童相談所の児童福祉司など専門的知識を持つ職員の増員のほか、24時間対応の電話相談などの周知による虐待の早期発見・対応、一時保護施設の環境整備、里親やファミリーホームの確保と充実、ヤングケアラーの早期把握と支援などを列挙した。 子育て期までの切れ目ない支援としては、妊娠や出産などの相談窓口の充実や、仕事と不妊治療の両立に向けた企業の取り組み促進、市町村の産後ケア事業の推進などを挙げた。 県が子どもや保護者などを対象に実施したアンケートで関心が高かった内容を踏まえ、犯罪などから守る環境整備、いじめや不登校への対策、子育て家庭への経済的負担の軽減なども盛り込んでいる。 目標指標は14項目を掲げる。29年度の目標として、里親やファミリーホームの元で養育される要保護児童の割合(里親委託率)を23年度比48.4ポイント増の70%に設定。小中・義務教育学校の不登校児童生徒が学校内外の機関で相談や指導を受ける割合は100%を目指す。県の結婚支援事業による成婚数は累計で900組増の3690組とした。 計画は学識者や子育て支援団体の関係者らで構成する県少子化対策審議会などで5月から検討してきた。計画案は県のホームページに掲載。25年1月16日まで意見公募を実施し、これを踏まえて同3月に策定する。 県担当者は「子どもや若者が幸福でいられる茨城県の実現に向け、関係機関が思いを一つにするための計画にしたい」と話している。
茨城新聞社