極端な「脂質制限」は「肝臓の機能低下」につながる…そのメカニズムと対策を、専門医が解説
肥満・糖尿病・動脈硬化から便秘や脂肪肝まで、丸ごと改善してくれる、奇跡の料理……。いま、日本人のソウルフード“みそ汁”の健康効果が、大きく注目されています。 【写真】レシピ付き!やせみそ汁はこちら 「毎朝、具だくさんのみそ汁を最低一杯飲むだけで、肝機能は自然と回復し、代謝のよいやせる体が手に入ります」と語るのは、日本肝臓学会認定の肝臓専門医で、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅氏。本稿では、栗原氏の新刊『肝臓から脂肪を一掃! 医者が飲むやせみそ汁』(ワニブックス刊)より、極端な「脂質制限」がもたらす弊害と、その効果的な対策について、徹底解説します。 【第1回から読む】「1日1杯のみそ汁」で肝臓から脂肪が消えていく…肝臓専門医が明かす、驚愕の科学的事実
「脂質」の極端なカットは「肝臓機能低下」につながる
脂質の取り過ぎは肝臓太りの原因になると言われますが、まったく摂らないのも肝臓のためにはよくありません。なぜなら、脂質は糖質やタンパク質と同じ、体のエネルギー源となる3大栄養素の1つ。 これらは肝臓でエネルギー源に変換される際の代謝経路がそれぞれ異なります。どれか1つにエネルギー源が偏ると、その代謝経路のみが酷使され、体に何かしらの悪影響を及ぼす恐れがあるためです。 例えば、タンパク質は肝臓で分解される際、アンモニアという毒素を発生します。通常アンモニアは尿として排出されますが、増え過ぎると、脳やさまざまな臓器に悪影響を及ぼす恐れがあるため、取り過ぎは危険。3大栄養素はバランスよく摂取するのが最も肝臓に負担をかけない方法といえます。 適度な脂質が必要な理由は、ほかもあります。脂質には、ビタミンA・E・D・Kといった脂溶性ビタミンの吸収をよくするという働きがあります。これらのビタミンは肝臓が正常に働く上でも重要なので、脂質を極端にカットしてこれらのビタミンの吸収が阻害されると、肝臓の機能低下につながる恐れがあります。 ただし、現代人は糖質と脂質を取り過ぎる傾向にあるので、「普段よりもやや控えよう」という意識を持つといいでしょう。 脂質の摂取量の目安は総エネルギーの20~30%。これは食品そのものと調理に使う油を合わせた量なので、調理に使う1日の油の使用量は、大さじ1~2杯程度が目安です。 また、脂質には良い脂質と悪い脂質があります。肉の脂、マーガリンなどの飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は、取り過ぎるとさまざまな健康リスクを引き起こすことがわかっています。霜降りの肉を食べる場合は少量にとどめる、鶏の皮ははがすなど、日頃から取り過ぎない工夫をしましょう。 反対に、青魚に豊富なDHA・EPAなどの魚の油は、血圧やコレステロール値の上昇を抑え、中性脂肪を減らすなど、体にうれしい働きがたくさんあります。青魚は脳機能を向上させるといったダイエット以外のメリットもたくさんあるので、積極的に食べてほしい食材の1つです。