中国産金属シリコン市況、秋口から低位安定。投機筋が買い支え
中国産金属シリコン市況は秋口から低位安定が続いている。生産量の伸びに需要が追い付いていない状況は継続しているが、一部富裕層が将来の市況反転をにらみ先物市場で買い支えを実施。対日価格は大崩れすることなく、9月中旬から大きな変化がなく推移している。足元の輸出向け価格(FOB)は「2202」がトン当たり2500~2600ドル(9月中旬比横ばい)、「3303」が1750~1780ドル(同30~50ドル安)、「441」が1660~1690ドル(同10ドル安)、「553」が1600~1650ドル(同10~20ドル安)。 シリコン需給は緩和が継続中。中国全土の1~10月生産量は414万6680トンで前年同期比101万トン増えた。現行水準が続けば2024年生産量は23年の391万トンから急増し、500万トンに迫るとみられている。一方で需要は太陽光パネル向けの飛躍的な伸びで「23年に335万トンとみられる需要は24年に450万~470万トンに拡大したと推測している。需要も140万トン近く伸びているが、今年も30万~40万トンの供給過剰になるとみられる」とタックトレーディングの上島隆会長は述べる。市中在庫は23年、24年の需給ギャップにより約100万トン以上に上っているとの見方があるため価格が下落している。 それでも価格が大崩れしていない状況について上島会長は「投機資金が大量かつ継続的にシリコン先物市場に注がれているためだ」と分析。また「一説には太陽光パネル向け需要が年400万~500万トンになる事態となったときに金属シリコン需要の伸びほど生産が伸びない時期がやってくる。そうなれば市況が反転し、利益を享受できる」と述べる。 目先の市況については、「100万トンにも達するとされる在庫が急速に減少するとは思えず、太陽光パネルが中国政府の思惑通りに順調に世界で販売を伸ばせるかにも疑問符が付く。当面は実需低迷でジリ安か、投機筋の買い支えで横ばいになるのではないか」(同)と予想している。