【毎日書評】上司が気をつけたい部下との「距離感のバグ」と注意することば
近年はコンプライアンスが厳しくなり、後輩や部下が相手だった場合には、悪意のないちょっとした発言でさえ「ハラスメント」になりかねません。そのため、“ハラスメント・リスク”に敏感になってしまっている中堅社員も多いのではないでしょうか? しかし、そもそもなぜそんなことになってしまうのでしょうか? この問いに対して、『話し方で老害になる人尊敬される人 若者との正しい話し方&距離感』(五百田達成著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は次のように述べています。 中堅社員と若手、年長者と若者との間で「ハラスメント」が起きてしまう原因はずばり「距離感のバグ(誤り・まちがい)」にあります。 人と人には本来、適切な距離感というものがあり、それに応じた適切な話し方があります。年長者もふだんはそれを保って、周囲と正常な関係を築いています。 それなのに、話す相手が若者となったとたん、なぜかつい、誤った距離感で誤った話し方をしてしまう。これが「距離感のバグ」です。(「はじめに」より) たとえば、「相手は年下なんだから、これくらいいいだろう」と無遠慮に距離を詰めて高圧的な物言いをしたり、無遠慮にプライベートへと踏み込んだりする。その結果、パワハラやセクハラで訴えられてしまう──。 逆に、「若い人はなにを考えているかわからない……」と必要以上に遠慮し、腫れ物に触るように接する。すると細かな意思疎通ができなくなり、行き違いや誤解が生まれ、こちらも結果的にはパワハラやセクハラで訴えられる──。 当然ながら、どちらも適切ではないでしょう。踏み込みすぎず遠ざけすぎず、若者と「正しい距離感」を保って「正しい話し方」をすれば、お互いに信頼・尊敬しあえて、仕事のしやすい良好な関係が築けるわけです。 そこで本書では、この点についての正解と不正解を対比させながら、若手との適切なコミュニケーションのあり方を明らかにしているのです。きょうは第2章「仕事・職場編」のなかから、「注意するとき」の2つのポイントをピックアップしてみましょう。